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キラキラ光る都会のネオンが、前を行く車のリアウィンドウを照らして。
ドキドキとふわふわとくらくらの入り混じる私の目を、また眩ませる。
翔「お前まだ時間平気なの？」
「あ、はい。お母さんに言って来たので」
翔「ん。でも腹も減ってねーし、どうすっかな」
車のデジタル時計の表示は、PM 9:17。
先生の横顔越しに流れる、知らない街の景色。
…まだ、帰りたくないな。
この幸せにもう少し浸ってたい。
もう少し、先生と一緒にいたい。
なんて思うのは、わがままですか。
翔「俺んち行く？」
「…え？」
翔「お前そんな格好だし、下手なとこ連れてけねーだろ」
「あ…」
翔「だる過ぎて、和服のエスコートとかもうする気になんねぇ」
…うそ。
先生の家、いつか行ってみたいなって思ってたけど。
こんな、いきなりその時が…
翔「泊まってけば？」
「えっ!?」
翔「ノンアルコールばっか飲まされたから、酒飲みてーし」
「っ、ぁの」
翔「俺と一緒だって言ってあんなら楽勝だろ。俺お前の母親から絶対的な信頼得てっから」
涼しい顔で話し続ける先生とは裏腹に、私の胸はもうドキドキが急加速し始めて。
ハンドルを握る先生の、肘まで捲り上げたシャツから覗く筋張った腕が、目に飛び込んで来て思わず視線を逸らす。
…どうしよう。
私、ドキドキしすぎて家に着く前に死ぬかもしれないっ。
翔「なに黙ってんだよ」
「ぇ…」
翔「行くの？行かねーの？」
「ぃ…行きます」
翔「じゃあ泊まるって家に連絡しとけ」
「っ、はい」
慌てて取出したスマホを落っことしそうになった私に呆れた目を向けて。
翔「だから。触ってもねーのにサカってんじゃねーよ、未成熟児」
余裕たっぷりなどS発言なのに色っぽいその声を聞いた私の手から。
ずるっと情けない音を立てて、スマホが滑り落ちた。
・
・
「あの…、ここですか？」
翔「そう」
「……」
素っ気なく言って、すたすたとエントランスに向かって先生が歩いて行く。
いや、予想はしてたけど。
すごいんだろうなって、思ってたけど。
高層マンションが建ち並ぶ都会の一等地の中でもひときわ目立つ、超高層マンション。
…なんか、ビルが楕円形をしています先生。
最上階は雲を突き抜けてはいませんか、櫻井先生っ(それはない)。
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作者名：あげは
| 作成日時：2016年7月6日 1時
