BT -Black Teacher- 10 *+:S.S:+* (ページ16)

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▼384　Side.Kazunari ページ16

　
やっと聞けた翔ちゃんと先生の繋がりは、思ってたよりも深くて。

翔ちゃんの口から語られる先生の姿が、俺たちにははっきりと見えた。

翔「でも結局個展のあと、俺は受験でくそ忙しくなって。大学入ってからも、親父から出される課題こなすので精一杯で。なんも変わんねぇまま、進路決める年になった」

みんなが見つめる中で、薄く笑ったままの翔ちゃんが続ける。

翔「このまま親父の会社入って決められたレールの上歩く前に、なんかやりてぇって思った時…俺思い出したの。

ふにゃふにゃ笑って、俺に『教えてあげる』とかほざいたお絵かき教師がいたなって、思い出して。

あの人のそばなら、なんか変わるかもって。親父を超える為のなんかが見つかんじゃねーかって。

そう思って、親父説得して教師になって。喜多川学園に就職決めたんだよ」

俯いてた顔をふっと上げて。

翔ちゃんが、先生のお墓を見上げた。

翔「なのにいざ来てみたら、あんたいなくて。

同じ年に入った美雪の顔見て、すぐあのいたずら描きの女だってわかったけど、俺が会った時のこいつはもうボロッボロで。

ふざけんじゃねーよって。なんも教えずにいなくなって、大事な女ぼろぼろになるまで泣かせて。

なにが『俺先生だから』だよ。なめてんのかあの人って、めちゃくちゃ腹立ったよね」

美雪「…っ」

先生がいなくなったのは、翔ちゃんと美雪が大学4年の秋。

2人が教師になったのは、その翌年の春。

翔「ほらな。って思ったよ。結局そんなもんなんだろって。

結局、1人でやるしかねーんだろって、思ったよね」

ここにも、傷ついた人がいた。

先生がいなくなったことに傷ついた人がまだ、こんなに近くにいたんだよ？

ほんと先生って、ダメな人だよね。

翔「でも…」

また足元に目を落として、翔ちゃんがぽつんと呟く。

翔「そっから4年経って潤がうちに来て。くそ真面目で暑苦しいこいつも、先生の教え子だってわかって。2年前潤がBカップに手ぇ出した時に、夏祭りで雅紀とカズにも会った」

俺とまーくんを交互に見て、ふんって鼻を鳴らす。

翔「お前ら見た時、一瞬でわかったよね。あー、あのチャラ男2人組だって」

―― "ねぇサクライせんせー。先生も入ろうよ!!"

あの日、まーくんの呼びかけに思いがけず素直に寄って来た浴衣姿のイケメン先生。

翔ちゃんはもうあの時、俺たちのこと、知ってたんだね。
　