６６：どうして ページ16
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それは、ウォヌ先輩も同じだったらしい。至近距離で絡み合った視線に、彼は少し驚いたように目を見開いた。
「 ………あの… 」
小さな声を振り絞ると、先輩はハッとしたように ごめん と言い、私の肩に回していた腕を慌てたように解いた。
解放感と同時に、先輩に触れられなくなった寂しさが襲ってくる。……やっぱり、人の感情は難しい。
先ほどまで近過ぎる距離にいた先輩のことで頭がいっぱいだったからか、今になって漸く、自分の心臓も今までにないぐらいの早さで脈打っていることを感じ取った。
「 ……ほんとに、ごめんなさい……。あと、助けてくれて、ありがとうございました… 」
どこか気まずささえ感じるこの雰囲気をどうにかしたく、早口で捲し立てて頭を下げる。顔を上げると、呆れたように眉毛を下げる先輩と目が合った。
W『 ……危な過ぎるでしょ、何考えてたの？』
「 …え 」
W『 明らかに何か考え込んでたでしょ？…悩み事でもあるの？』
「 …あ、いや、えと…… 」
先輩への想いを……なんて、正直に言えるわけがない。なんて答えようか考え倦ねいている内に、先ほどまで赤く光っていた信号が青に変わってしまったらしい。周囲にいた人達が、一斉にぞろぞろと歩き始める。
先輩はその様子を横目に捉えた後、黙り込む私を見て小さく息を吐くと 行くよ とだけ言い、リュックを軽く背負い直して私の手首を掴んだ。
「 あっ、ちょ、先輩っ… 」
私の手首を引っ張ってずんずんと歩く先輩の大きな背中に声を掛ける。
W『 …とりあえず、駅向かえば良いんでしょ？』
こちらを振り向きもせず、背中越しに聞いてきた先輩に そうですけど… と答えながら、若干の違和感を抱く。
「 ………先輩… 」
長過ぎる足のせいか、先輩の歩幅はとても広くて。ついて行くのに精一杯だ。…さっきまで、私に合わせて歩いてくれていたというのに。
「 ……先輩ってば、」
私に向かって微笑んでくれる、その優しさが好きなのに。……どうして今は、私の方へ振り向いてくれないの…？
「 …ウォヌ先輩…！」
少し大きな声で先輩の名前を呼び、足を止める。私の手首を掴む彼は、そんな私に引っ張られるように自分も歩みを止めた。
「 ……先輩、怒ってますか…？」
それでもこちらを振り向いてくれない先輩に、抱いていた小さな違和感を、直接ぶつける。
W『 ……怒ってるっていうか… 』
軈て、先輩は小さな声と共に漸く口を開いてくれたようだった。
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アオコ(プロフ) - ハローさん» お返事遅くなってしまいほんとうに申し訳ないです…！コメントありがとうございます！これからもよろしくお願い致します…！！！！ (2020年11月21日 1時) (
レス) id: ad766077a4 (このIDを非表示/違反報告)
ハロー - 続き楽しみにしてます (2020年11月14日 22時) (レス) id: 5db7b589d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオコ | 作成日時：2020年10月18日 18時
