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65:心配事と予想外の出来事 ページ15

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ただ育むだけじゃ、意味はない。花だって同じだ。蕾が開くようにという願いや目的があるからこそ、私達は花に水をあげる。
だけど私の気持ちには、付き合いたいだとか、そういう最終目標がないし……ないというより、そんなものは、作ったらダメだから。

水をあげ過ぎた花は、枯れてしまう。

嫌だと思った。きっとないとは思うけど、ウォヌ先輩への気持ちが、花が萎れていくように、なくなってしまうかもしれないということが。人の気持ちは、例え自分でも、わからないのだから。

先輩への好意を手離すのと同じぐらい、今のこの気持ちが、居場所と目的を見失って爆発し暴走してしまうことも、私は危惧していた。
…先輩に、迷惑を掛けたくない。叶わない恋を想って今も苦しんでいる彼を、これ以上、困らせたくない。
想っているだけで良い。それは私自身が決めたことなのだから……守らなきゃ、ちゃんと。



……そうやって、深く考え込み過ぎていたんだと思う。



W『 ………A…!』



先輩の、切羽詰まったような声が耳に届いて。彼の腕が右肩から回され、左肩に置かれたその大きな手は、私を後方へと引っ張った。背中に、彼の温もりが直接広がる。
……その瞬間、クラクションを鳴らしながら、目の前を車が通り過ぎて行った。その勢いで吹いた風が、下ろしていた私の髪を舞わせた。


W『 ……何やってんの、マジで 』


先輩の低い声が、左耳を擽る。状況を理解したのは、それから少しした後だった。

「 ………あの、……私…… 」

ゆっくりと視線だけを上げると、横断歩道の向かい側で光る、鮮やかな赤色。目の前を行き交う車、トラック、バイク。



W『 …焦った、ほんとに……赤信号なのに渡ろうとするから 』

やっぱり……。思考の沼に陥ってしまっていた私は、周囲の音も聞こえていなかったし、景色も見えなくなっていたらしい。先輩が、助けてくれなかったら………そう考えると、ゾッとした。


お礼を言おうと背後にいる先輩の方へ振り返る。……それが、ダメだった。


いくら私達に身長差があるとはいえ……よく考えたら、私は今、先輩に片腕で抱き締められている状態なのだ。

予想以上に近い距離で目が合って、それと同時に、先輩の腕が長袖越しでもわかるぐらい逞しいことにも気が付いてしまった。背中に直に触れる彼の熱も、よっぽど焦ったのか早く動いている心臓の速度も………何もかもがダイレクトに伝わって来て、もう、思考回路はショート寸前だった。




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アオコ(プロフ) - ハローさん» お返事遅くなってしまいほんとうに申し訳ないです…!コメントありがとうございます!これからもよろしくお願い致します…!!!! (2020年11月21日 1時) (レス) id: ad766077a4 (このIDを非表示/違反報告)
ハロー - 続き楽しみにしてます (2020年11月14日 22時) (レス) id: 5db7b589d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アオコ | 作成日時:2020年10月18日 18時

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