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「あいつ、今頃泣いてるかな」
Aに聞けば、「そうかもね」と返ってくる。
「ソクミナもジフナが怖くて落ち込んでるんじゃないよ、わかってるでしょ？まあジフナはおっかないけど……」
「おい」
「想像してたように歌えなくて、自分を不甲斐なく思っちゃうんだよね。オレも昨日やらかしたから痛いくらい理解できるよ」
「だろうな、散々だったし」
「人間だから良い日も悪い日もあるのは当然だけど、こればっかりはどうにも……」
考え事をしている時のようにふわふわとした口調のAが、オレに向かってジュナの置いて行ったのど飴を投げてくる。
「いらない」と答えて投げ返すと、Aがピリピリっと封を開けて口の中に緑色の飴玉を放り込んだ。
「ねえ、ジフナ」
「なんだよ、昨日やったとこでも撮り直すのか？」
「ううん、そうじゃなくて」
ガリっと、Aが奥歯で飴玉を噛みしめる音が聞こえる。
「ジフナがみんなに厳しくしてくれるから、オレはみんなに優しく出来るんだよ」
「なに？」
「そのままの意味。グループ全員優しくてもダメだし、誰かが損な役割をやらなきゃ成り立たないじゃん」
「損だとは思ってないけど」
「だとしても、自分にも他人にも厳しくいるのは簡単に出来る事じゃないでしょ？」
Aが不甲斐なさそうにふにゃりと眉を下げる。
「まあお前は苦手だもんな」とは言わなかった。
オレだって始めの頃は心労で倒れるかと思ったけど、今はそうでもない。
慣れたせいでもあるけど、他にも理由はいくつかある。
「オレが厳しく出来るのは、Aやハニヒョンがこうやって裏で動いてくれるからだよ」
そう言われるとは思っていなかったんだろうか、Aがオレを見て小さく口を開けた。
どうやらよっぽど意外だったらしい。
Aの顔を見て笑えば、その口から吐息が零れる。
「いや、そんな事ないよ。ジフナ達が締めてくれるからで……ハニはともかく、オレは別に何もしてないし」
「お前だって褒めにいくし慰めにいったりもするじゃん」
「それは……それはジフナだってやってる事で、」
「オレがやるのとお前がやるのじゃ、また少し違うらしいけど？」
「はあ？」
首を傾げるAを置いて録音ブースに入る。
そのまま「先に出来るとこまでコーラス入れるぞ」と言えば、腑に落ちない顔をしたまま「了解」と返すAの声がスピーカーから響いた。
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せの(プロフ) - 奈子さん» ありがとうございます！ (2019年6月23日 0時) (
レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - いつきさん» ありがとうございます！ページの都合で一旦消したのですが、先程再投稿しました。お時間があるときにでも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
奈子 - 評価一個じゃ足りないです、、！！！すごく大好きな作品です！！ (2019年6月22日 18時) (レス) id: a598e2ddc7 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - この小説の雰囲気がとても好きで、投稿されるのを楽しみに待っています。突然なのですが、今日出した続編は削除されてしまったのですか？スンチョルさんとの話はとても面白かったので少し残念です…これからも頑張って下さい！ (2019年6月22日 15時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - kinosuke20さん» 評価もコメントもありがとうございました。がんばります！ (2019年6月22日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せの
| 作成日時：2019年6月6日 10時
