ドギョムとシャワー室のお化け ページ36
ドギョム視点
暇を持て余してダンスの練習を一人で始めたのは、ちょうど三時間前だった。
時計の短針が真上を向いた午前0時に宿舎を出たから、空はそろそろ夜明けの準備をしているんだろうなぁ。
この季節の午前4時って、どんな明るさだったっけ。
そういえば覚えてないや。
暗かっただろうか、それとも明るかっただろうか。
太陽はもう出てるかな、それともまだ月が頑張ってる?
夜明け前が一番暗いって言うけど……まあ、あれはただの言い回しだから関係ないな。
俺たちの夜明けが昼より暑いっていうのも、これとは少し違う話だ。
ピタリと音楽が止んだ練習室で、頭に浮かんだその歌を口ずさむ。
息が荒くて満足に歌えないけれどこれはこれで心地いい。
仰向けになって床に寝転ぶと、ぐっしょりと汗をかいた背中にフローリングの冷たさが移って気持ち悪かった。
それなのに起き上がれない。
疲れすぎて。
ここに来る前ホシヒョンからは「ほどほどにしとけよ」と釘を刺されたけど、これってヒョンの言う「ほどほど」に入るのかな。
息は上がったままだけど、身体の具合はずいぶん良く思う。
こういう時ほど人間は怪我をするんだってことくらい解ってるけど、なんだか今日は身体を動かしていないとダメになる気がした。
いや今日か?……昨日?それとも明日?
うーん……こんな意味の解らない時間だと、頭の中の時計って簡単に狂ってしまうんだから嫌になる。
「ソクミナ?」
「わっ!!!!」
扉の音と同時に誰かの声が聞こえてきて、驚いて上半身を浮かせる。
おそるおそる振り返ってみると、なぜかそこにはAヒョンがいた。
幻覚かと思って目を瞬かせていると、申し訳なさそうな顔をしてヒョンが練習室を覗き込んだ。
「ごめん、驚かせたね」
「うん、びっくりしちゃった……どしたのヒョン、こんな時間に」
「音楽止まったからもう終わったのかなと思って」
「……え?ああ、もしかしてAヒョンずっとこっちにいたの?今日は宿舎にいるんだと思ってた」
「ソクミナが来る前からいたよ、この隣の部屋に」
「隣で?資材置き場になってる会議室……?」
「そう、衣装部の人と次のツアーで何着よっかって話してたんだ。あそこって布のサンプルがたくさん置いてあるから」
「あ〜……衣装部ってあの、Aヒョンの『可愛い子』のお父さん?」
「そうそう、よく覚えてるね」
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せの(プロフ) - 奈子さん» ありがとうございます! (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - いつきさん» ありがとうございます!ページの都合で一旦消したのですが、先程再投稿しました。お時間があるときにでも楽しんでいただけると嬉しいです。 (2019年6月23日 0時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
奈子 - 評価一個じゃ足りないです、、!!!すごく大好きな作品です!! (2019年6月22日 18時) (レス) id: a598e2ddc7 (このIDを非表示/違反報告)
いつき(プロフ) - この小説の雰囲気がとても好きで、投稿されるのを楽しみに待っています。突然なのですが、今日出した続編は削除されてしまったのですか?スンチョルさんとの話はとても面白かったので少し残念です…これからも頑張って下さい! (2019年6月22日 15時) (レス) id: 317f2047c2 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - kinosuke20さん» 評価もコメントもありがとうございました。がんばります! (2019年6月22日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年6月6日 10時