男装生活とその日常について３ (ページ4)

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ジュンと猫ページ4

ジュン視点

放送局から衣装を着たまま大移動して、本日のペンサ会場までやって来た。

睡眠時間は削れるだけ削ったようなスケジュールだけど、なんだか身体の調子はいつもより良い。

僕とは反対に、今日のAは隙あらば寝ていた。

苦手なコーヒーを飲んでも、栄養ドリンクを飲んでもダメだったみたい。
裏ではずっとあくびを手で隠し続けてたし。

まあまあ、そういう時もあるよね。

僕も今回が元気なだけで、Aみたいになってしまう事だってあるんだし。

控室でそわそわしていると、Aが「ジュナ」と僕に声をかける。

僕の隣に空いていたソファの半分に腰掛けて、「ん～」と猫のように顔を擦った。

メイクは取れてないかな……うん、大丈夫そう。

Aが眠そうに目を伏せるから、アイシャドウのグラデーションが鮮明に見えて観察しやすい。

「始まる10分前になったら起こしてほしい」

「いいよ」

「肩かしてくれる？」

「どうぞ」

落ち着いた方が良さそうだ。
「ふう」とひと息吐き出して肩を叩く。

「ありがと」と小さく呟いたAが、ソファと僕の隙間にぐりぐりと頭を埋めてくる。

身体の向きを変えてみたり、顔の角度を変えてみたり。あっちへやったり、こっちへやったり。

最終的には靴を脱いだ足をソファに乗せて、すやすやと眠りについてしまった。

Aが起きませんように……

そう心の中で神様にお願いしながら、テーブルの上に置いてあった僕のスマホへそろ～っと手を伸ばす。

そのままアプリを開いて眠るAとセルカを撮り始めた。

右から撮ったり、左から撮ったり。今日は真正面がいい感じ。

途中ハオが「盗撮？」と不穏な事を口にしたり、「僕も！」と小声でチャニが入ってきたり。

何枚もの画像が、勝手にフォルダへ保存されていく。

こっちにいる時はAのために……というか、Aのスマホが至るところに放置されているのが可哀想で、つい手にとってしまうのだ。

それでも、Aが寝ている時の写真はAのスマホで撮らない事にしている。

前に一度、全部消されてしまった事があるからだ。

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