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パクパクと食べすすめるヒョン。
僕は運んで来ただけで作ったのは母なんだけど、どういうわけか鼻が高くなってしまう。
「食べながらグァニのお母さんにビデオ通話したら怒る?」
「喜ぶと思いますよ」
「あれ、どこに……部屋かな……」
やっぱり携帯してなかったスマホを取りに行き、手慣れたように僕の母にビデオ通話を掛け始めた。
まあよく話してるとは聞いていたけど……なんとなく疎外感が襲ってくる。
「お母さん」
『Aや、元気?』
「お母さんも元気そうで」
数時間前に聞いた自分の母親の声は、僕の時より幾分か柔らかい気がする。
差別だ……!
「ご飯、本当に美味しくて……ありがとうございます。特にこれ、最高」
『あら、Aはまだ朝ご飯食べてなかったの?』
「休みだと思うと食べる気力がなくて……それに、ちょうど手料理に飢えてたんですよ」
『そんなだからいつまで経っても痩せ気味なのね』
「そうなのかなぁ」
『ああ……スングァナを帰らせて良かったわ、私のAが餓死するところだった!』
「ごめんね、せっかくの休みなのに」
『いいのよ〜、どうせならAの胃袋を掴んでやろうって悪知恵を働かせたのは私なんだから。あの子もAを独占できるって喜んでたわ。喜んでるでしょ?』
飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。
誰もそこまで言えなんて言ってないのに……!
どうにか堪えた僕を見て、Aヒョンが声を出して笑った。
「胃袋なんてもうとっくの昔に捕まれてるのに、知らなかったんですか?」
『それならうちにもちゃんと遊びに来なさいよ。出来たてはもっと美味しいんだから!あの子ももうちょっと早くAの分の飛行機を手配してれば……ずっと前から私には相談してたくせにねえ〜』
「ああ……、また余計なことを……」
「あはは、出来ることなら今すぐにでも行きたいんですけど」
『ねえ、A。あなたは忙しいかもしれないけど、いつ来てくれてもいいのよ。私もスングァニもAの事を家族だと思ってるんだから』
母がAヒョンに言い聞かせるように、ゆっくりとした口調でそう返す。
ヒョンは口元に笑みを残したまま、ほんの少しだけ悲しそうに眉尻を下げた。
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せの(プロフ) - ちょんちょんささん» ありがとうございます! (2019年6月6日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
ちょんちょんさ(プロフ) - このお話がとても大好きです!!続編も楽しみにしてます^ ^ (2019年6月4日 11時) (レス) id: bf015467db (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - うゆさん» ありがとうございます! (2019年6月3日 10時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - 更新ありがとうございます!毎話毎話、素敵すぎて心がぎゅーっとなります( ; ; )そのままずっといっしょに幸せに暮らしてくれーーーーー( ;∀;) (2019年6月1日 15時) (レス) id: 81aa380229 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます! (2019年5月31日 16時) (レス) id: ce3e37b412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年5月20日 10時