《完結》 Maison de tempete 【ars】 (ページ27)

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なんて話しかけようかな、
ここは無難に「さっきは助けてくれてありがとうございました」かな

でもそのあとの会話、どーする？たぶん「あぁ...」とか「別に気にしないで」で終わるんじゃない？

どうしよ、なんかもっとパンチがあって...長く続く何か...

「あの、さ」

先に沈黙を破ったのは、大野さんだった。

「さっきの、嘘だから」

たぶん、婚約者ってとこだ。

『分かってます...』

そんな、釘刺さなくても分かってるのにな、

あれが、相手を言い負かすための最善の方法だってことなんて。

「え、まじ？」

『はい、分かってます。』

顔を上げると、うろたえてる大野さん。

なんで？まさか過去にそういう勘違い女ばっかりだったからとかかな。

大野さん優しいからきっと、期待しちゃうんだろうな...わかる。

「俺、」

そういって深呼吸をして、

もう一度私の方を見て、大野さんが言った。

「たまたま見かけたわけじゃなくって、

婚活パーティーに行ったって聞いて、いてもたってもいられなくなって、

仕事終わらせて出向いたら、Aさんがいて、男に連れていかれたから追いかけたんだけど...」

大野さんの真剣な瞳が、私をとらえる。

「結婚を前提に付き合ってもらえませんか」

私が終わりにしちゃった恋は、

ちゃんと始まってたみたいだ。