出会い ページ1
「絶対にポケモンが関わってると思うんだよな」
まだ興奮冷めやらぬシュートスタジアムで、独り言を吐く。
今日はワールドチャンピオンシップスのマスタークラスの試合。
幼なじみの恐竜使いは、それはもう張り切って試合に臨んだというのに、勝利を飾ったのは不動のチャンピオンダンデさんだった。
キバナ、あとで励ましに行ってあげなきゃ。
試合の決着を見てすぐ、伝説の手がかりとなるこの像へと自然と足を伸ばしていた。
久々に見るけどやっぱりタネも仕掛けもないみたいだ。
すると、試合の様子を興奮しながら話していた少年2人が、ふと銅像の前で立ち止まった。
ガラルの人間じゃないのか、なんの像だ？と2人で言い合っている。
「坊やたち、この像について知りたいなら、説明しようか？」
一瞬驚いた顔をしたのちに、元気よく聞きたいです！と返してくる。
「ふふ、元気でよろしい」
私はガラル地方の厄災のこと、それを助けた英雄のことを、今解明されている範囲で説明した。
『大昔、ガラル地方の空が黒い空で覆われたとき
あちこちで巨大なポケモンが大暴れ
そこへ、剣と盾を持った一人の若者が現れて、騒ぎを収めた』
この像はその伝説の若者、すなわち英雄をモチーフにしたと言われている。
「で、まだまだ謎が深いから、私はその謎を解くべくこうして追ってるってわけなの」
「そうなんですね。ていうことはお姉さんは研究家かなにかなんですか？」
「そうだね。まだ見習いだけど」
「へー！すげー！」
目の前の少年2人は、目をキラキラとさせて私の話を聞いてくれている。
「俺はサトシです！マサラタウンから来ました！」
つんつん頭の、赤い帽子を被っている少年が挨拶をする。
「俺はクチバシティのゴウです！」
続いて、色黒で、女の子のように髪の毛がサラサラな少年が挨拶をした。
「私はA。よろしくね！」
「よろしくお願いします！」
そういって元気よく頭を下げる二人。
「ってやばい、もうこんな時間。サトシ、そろそろサクラギ研究所に戻んないと」
「ほんとだ。それじゃ、ありがとうございました！」
「うん！また会ったらよろしくね」
二人の少年は勢いよくシュートスタジアムを飛び出していく。
なんだか嵐のような子達だったな。
そんなことを思いながらふふと笑みをこぼした。
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作者名：suzu | 作成日時：2021年1月2日 19時
