肆拾漆 ページ47
これだけ鬼として進化を遂げて、理性も失われてしまっているからAの立場が危うい。生かされるのか。
「A、落ち着け!俺だ、冨岡義勇だ」
「Aは鬼じゃない、人間だ!耐えろ!」
炭治郎も一緒になって、額に血管が浮き出て汗だくになったAを言い聞かせる。
胡蝶や時透達の声を聞いたからか、暴れる力が少し弱まった。その中、苦しそうにAは口を動かした。
「っあ、どう…ま、の…血が…」
「鬼に血を混ぜられたのか…!?」
確かに、腕を見ればずっと鳥肌が立っていて虫酸が走る、と言う感覚だろう。炭治郎も、Aと上弦の鬼の、血気術が同じ水晶だったと言う。
雨が血走った目に入り込み、潤いをもたらしていた。その憂いを帯び湿った瞳は、助けを求めている様にも見えた。
「……A…」
「っ」
爪がくい込んで流れている腕の血を、Aの唇に塗り付ける。紅が這えて、真っ白な肌と合わせて美しかった。
血の味を感じたであろうA。
だが、決して鬼の本能に従い目をらんらんとさせる事は無く、涙を流して俺を見つめた。
「俺の血で、その鬼の血を薄めてやる」
「っ、ん」
爪で自身の唇を切り、接吻をしてAに血を送った。少しずつ俺の血が流れて、溢れた血液は顎に垂れている。
苦しくて、孤独な痛みと戦っているだろうから。
その痛み、俺と分けよう。
「義勇……さん」
「A」
腕を掴まれている力が弱くなっていく。
牙は戻らなかったが、瞳孔の開きは元に戻った。
震えるか弱い手が俺の背中に回された。肩が小刻みに震えていて、嗚咽が聞こえる。
朝陽が山々の間から覗き、木々を通してこの場を照らした。
柱や炭治郎一行は、日と同じくらい穏やかな視線で二人を見守っていた。
ー
ーーー
ーーーーー
「…童磨さんを恨んでいる訳ではないです。
どんな形であれど、人を守れる力を手に入れられたのは…童磨さんの、お陰ですから。」
「…そうか」
冨岡は、鬼舞辻に一時的に捕らえられていたAに何があったのか一部始終全てを聞いていた。
鬼として必要な牙は、鑢で削って今は無い。
時間が押したので、冨岡は席を立った。
「柱稽古、頑張ってくださいね」
「ああ。
……A、帰ってきたら話したい事がある。」
待っていてくれ。
急に、少し改まった様子の冨岡にAは笑う事は無く、麗しい笑みで微笑んだ。
待ってますよ。いつまでも。
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした!!細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました!!こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます!!! (2023年1月30日 21時) (レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、。゚(っ´;ω;`c)゚。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です!義勇好きにはたまりません!最高です! (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア!!千寿郎好きだから感謝!頑張って! (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ice.11 | 作成日時:2020年3月28日 15時