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弐拾弐 ページ22

「A、なのか?」



夕食が出来たと善逸に伝えに行こうとしたら、ふわりと覚えのある匂いがした。
長い間、していなかった匂い。忘れる筈が無い、間違える筈が無い。

進める足は加速していく一方。場所を辿ると俺達の病室だった。

緑色の目が振り返り、俺を捉える。名前を呼んでも反応は無くて、Aだと確認をする前に抱き締めていた。



「A、Aっ…!!」



「お……兄ちゃん…」



綺麗な透き通る声も変わっていない。その返事に、Aだと確信を持ち、更に強く抱き締めた。



「ごめん、ごめんな…っ!俺、沢山Aを傷付けた。」


「あ…」



Aは涙を流す。俺は服の袖で頬を濡らす涙を拭ってやった。
俺もAも落ち着いた所で、部屋を貸してもらい話をすることにした。



「A…だよな?俺の事、分かるか。」


「うん…お兄ちゃん、だよね。」



少し決まりが悪そうにそう言う。そりゃそうだ、以前、俺はAを避けていたのだから。
Aの手を握り、冷たいその手を暖めてやった。



「Aは、どうやって生き延びたんだ?」


「…私、血が薬漬けだから、鬼が好かなかったみたいで…被害が、少なかった。」



その後の事も話し出す。
俺が家に戻ってきた時に意識があったこと。
そして冨岡さんに助けられたこと。



「……私、鬼なの。」


「えっ…!」



けど、見た目も気配も昔のAのままだ。鬼の血が薄いらしい。



「…接吻で生気を保っている鬼。」



接吻で…。そんな性質は聞いたことが無かった。
そこまで話して、Aはまた涙をぼろぼろと流す。



「私、お兄ちゃんに、嫌われ、てると思って、た。
だから…わざと、置いていかれた、って、思うと怖くて、はしたない、鬼だし…」



俺に怯える、弱々しいAを強く抱き締めた。
大丈夫だと言い聞かせる為に、背中も擦る。



「俺、Aが好きだったんだ。」


「…っ?」


「だから、傷付けそうで怖くて、距離を保とうと思って…ごめんな。嫌だったよな。」



俺の勝手な理由で急に引き離されて、怖かっただろう。いくら反省してもしきれない。
Aはようやく俺を信じたのか、俺の背中に腕を回した。

弐拾参→←弐拾壱


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
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  • 全体運: ★★★☆☆

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設定タグ:鬼滅の刃 , , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした!!細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました!!こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます!!! (2023年1月30日 21時) (レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、。゚(っ´;ω;`c)゚。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です!義勇好きにはたまりません!最高です! (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア!!千寿郎好きだから感謝!頑張って! (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ice.11 | 作成日時:2020年3月28日 15時

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