弐拾 ページ20
任務の帰りに髪飾りの店があったので、甘露寺に何か渡そうかと考えていた。
けれど俺はそう言う女の事にあまり詳しくないことに気がついた。鏑丸も同様。
店内を見渡すと知り合いが一人居た。
「冨岡の所の子供じゃないか。こんな所で一人で何をしている。」
「伊黒、さん…?」
聞けば、時透に簪を貰ったお礼を買いに来ていたらしい。
子供でも女は女なので髪飾りを選ぶのに付き合わせた。けれどAは嫌そうな素振り一つ見せずに、笑顔で俺と話をした。
「付き合わせて悪かったな。」
「いえ、楽しかったです」
小さく微笑む姿。
一年前に初めて会った時に会釈された微笑みより、幾分か大人っぽさを含んだ笑みは可愛い、よりかは綺麗だった。
「付き合わせた詫びに何か奢ってやろう。」
「え…構いませんよ。」
「良いから来い」
あともう少しだけ、一緒に居たいと思ったから。
強引に手を引いて甘味処へ入った。串団子を頼み、最後の一つを食べずらそうにしているのは可愛かった。
「これをやる。」
「えっ、……櫛…」
店で一度目に入って、Aに似合うだろうと思ってから目が離せなくなった、漆が塗られた翡翠色の櫛。
俺と同じ色のAの髪。触ってみると、色は俺と同じでも、髪質は柔らかくて俺の固い髪質とは違った。
「伊黒さんの髪は綺麗ですね。」
俺が言おうとした事を先に言われる。
Aは同じように俺の髪を触る。触れる度に耳に柔い手が当たって変な気持ちになってしまう。
「手を退けろ。」
このままではいけないと思い、Aの両手を掴む。俺によって拘束されている状態。何て興奮するのだろうか。
えっ、と驚くAを他所に、綺麗なその唇を奪った。
「っふ、ん」
「っ」
俺は包帯を巻いているので感触も何も感じない。
だから別に良いだろ、と思い何度も口をついばんだ。
「っん、い、ぐろ、さ」
「ん、っ」
やめてほしそうに胸板を押し、言葉を紡ごうとするのを接吻で防ぐ。
支配下で踊っているのを見ている様で何だか楽しい。息苦しそうにし始めた所でやめた。
店内の周りからの視線が痛かったので勘定を直ぐに済ませて店から出た。
「えっ、と、あの…」
「深い意味は一切無い。お前をからかっただけだ。勘違いするな。あと直接では無いから接吻の数に数えるなよ。」
そう吐き捨てて冨岡の屋敷まで送ってやった。
結局馬鹿なのかお人好しなのか世間知らずなのか知らないが、「ありがとうございました」とAは挨拶をしていた。
…少しだけ、冨岡が好く理由が分かったかもしれない。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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にゃるす。(プロフ) - 最高でした!!細かい描写とキャラ達の心情が凄く心に刺さりました!!こんな素晴らしい作品を作ってくださり有難うございます!!! (2023年1月30日 21時) (レス) id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
Turtle(プロフ) - 色々とやばかったです、、、。゚(っ´;ω;`c)゚。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: ae287d31c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 最高です!義勇好きにはたまりません!最高です! (2020年8月7日 14時) (レス) id: c22bf512a4 (このIDを非表示/違反報告)
リーのアニメ部屋 - アアアアアアアアアア!!千寿郎好きだから感謝!頑張って! (2020年8月5日 3時) (レス) id: 9f28f3c3ee (このIDを非表示/違反報告)
暁明(プロフ) - 銀時さん» 読んで楽しんでくださって嬉しいです。面白いお話作り頑張りますね。 (2020年4月28日 13時) (レス) id: 14dbba7e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ice.11 | 作成日時:2020年3月28日 15時