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「んー、もう朝かぁ」


バシャッと水から出て土手に行き、水をはらい人魚化を解く



「やっぱこっちの方が楽だ…」



そのままどさっと草原に寝っ転がる

サラサラと吹く風、澄んだ青の空、輝く草木



「…水もいいけど、こっちも居心地いいなぁ」


?「こんな所に無防備で寝ていたら危険だよ、人魚姫」



そう言われバッと体を起こし、声のした方を振り向く



「貴方…いつも入水する……」


太宰「太宰治だ。いつも助けてくれるね」


「……私が助ける時、気絶してましたよね」


太宰「一回目はね。2回目からは君の姿を一目見ようと気絶したふりをしていたのだよ」



じゃあ昨日も起きてたのか

毎回私がいる確証なんてないのに…


「ハァ、私がいなければ貴方は死んでますよ」


太宰「まぁ、本来死ぬためにやってるからね。その時はその時だよ」


「……悩みがあるなら聞きますよ?」


太宰「いや、ただの趣味みたいなものさ」




そ ん な 趣 味 が あ っ て た ま る か




太宰「ところで君、こんな所にいたら家族が心配するんじゃないかい?」


「………家族が心配するのは貴方もじゃないんですか?見た所歳近いですよね?

というと彼はキョトンとした後軽く笑った



太宰「私には家族なんていないよ。…君は?」



そう言って太宰さんは隣に座った


「同じですよ、居なくなったのはつい最近ですけど」


太宰「あぁ、もしかして。少し前にあった事件の娘さん?父親が母親を殺して、警察に捕まったっていう」


「あ。それです、よく知ってますね」



警察と関わりでもあるのかなぁ…


太宰「詳しく教えてもらってもいいかい?」


「……貴方が言った通り数週間前、父が母を刺し殺しました。母は浮気性だったんで…カッとなったんでしょうね。父は膝から崩れ落ちて何度も母の死体に向かって謝ったんです

その後、父は母の遺体を抱えて自首しました。ですが親が問題を起こした身寄りのない16歳の子供が雇ってもらえるはずも引き取ってもらえるはずもないですよね

私は、溺死しようと川に飛び込んだんです。でもいつまで立っても死ねなくて、自分を見たら…」


太宰「人魚になってた、と」


「はい、息もできるし魚も捕まえられるんで。お湯やプールだと変化しないみたいなので、海水とか淡水に限るのかも」


太宰「……ちょっとごめんね」


そう言って太宰さんは私を抱き上げた


太宰「軽いね、親戚とかはいないの?」

「先日、縁を切られました」

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作者名:荊鈴音@月猫 | 作成日時:2021年5月18日 2時

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