＊ ページ42
Aの目の前まで来ると、彼は少し屈んで彼女と目線を合わせた。そしてさっきの顔が嘘のように微笑み、彼女の頭を撫でる。その手つきの優しさに、Aの涙腺はいとも容易く崩壊した。
涙が止まらない。このままではマスクが濡れてしまうので、外したい気持ちはあるがこんな酷い顔を三ツ谷に晒したくはない。
「……怖がらせたか？」
「……うん、少し……怖かった」
「そっか。ごめんな、オレがもう少し落ち着けば良かったよな」
「三ツ谷君は、悪くないよ。助けてくれただけやん」
悪いのは、声をかけてきた高校生と抱き締めてほしいと頼んだ自分だ。三ツ谷は何も悪くない。確かに手荒だったかもしれないが、それでも助けてくれたことにかわりはないのだから。
正直、どうしてあんなことを頼んだのかわからない。変な気持ちを抱くわけを知りたかったからか？だからって、あんな。
……自分が自分ではないみたいだ。思わず三ツ谷から目をそむける。見ないでくれ。そんなに優しい目で、壊れ物を扱うように撫でないでくれ。……いや、やっぱり嫌だ。そのままにしてほしい。
「……オレじゃダメだった？」
「え…………？」
自分を撫でていた手が止まる。目をそむけてしまったせいで三ツ谷の顔を伺えない。動揺して返事を返せないAに、三ツ谷はさらに続ける。
「見ず知らずの男なんかにすがるってことは、オレじゃダメだったってことなんだろ……？」
「そんなわけ……！だって、」
＿＿三ツ谷君じゃなきゃダメなのに。
そう言おうとして、ハッとした。そうだ、だからだ。褒めてくれるのも、自分を受け入れてくれるのも、抱き締めてくれるのも、全部全部"三ツ谷じゃなきゃダメ"だったんだ。
どうしてそう思うようになったかなんてわからない。だけどそうじゃなきゃ説明がつかないじゃないか。三ツ谷がしてくれるから、言ってくれるから嬉しくて。三ツ谷だから自分にはもったいないけど隣にいてほしくて。だから彼にだけ変な気持ちを抱いてしまったんだと。
ストンと腑に落ちた感覚がした。
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甘川カズ子(プロフ) - コメ欄が最高すぎたので読もうと思いますありがとう☺️ (9月1日 10時) (
レス) id: 78f9ccd2f5 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - クッソイケメンじゃん。聞いてねぇよ。まさかめちゃくちゃイケメンとは、思わんやん。やべぇ好きだわ… (2021年7月30日 17時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 柳さん» おつかれサマンサ(違うそれは別のネタ) (2021年7月30日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 堕ちたわ。うんもう、夢にまで出てきた。 (2021年7月30日 17時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 『夏祭り』が終わったら続編いきます (2021年7月28日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時：2021年7月22日 13時
