＊ ページ34
疲れをため息に変えて盛大に吐き出す。自分は乙女達のテンションにさえついていけないことがよくわかった。ようやく落ち着いた３人に、Aは言葉を紡ぎ始めた。
「そりゃ友達としては好きだよ。けど色恋とかはたぶん……ない」
「たぶん？」
「たぶん。……最近何か変なんだ。三ツ谷君が私のためにしてくれること全部が嬉しくてさ……いや、それはそうなんだけど。そのたびに私には釣り合わない人だなぁ、なんて思うようになって……。
でも、だからと言って隣にいてくれないのは嫌なんや。これって何だろうね……」
「……A、それって」
「待って。……言わないでほしい」
柚葉の言葉のその先をAは止めた。……もしかしたらそうなんじゃないかと自分でも薄々感じ始めていた。だからこそ、言わないでほしい。
この気持ちの正体がもしそれであるのなら、人に言われて気づきたくはない。違うなら違うで、勘違いで空回るなんて滑稽にも程があるだろう。ちゃんと、三ツ谷と共にいるときに、ああそうなんだとストンと落ち着く形で気づきたい。
それがせめてもの、抵抗。"三ツ谷のダチであるA"を保ち続けるための唯一の手段。だって怖いじゃないか。今の関係がどう変わるかわからないなんて。
「……なんか、ゴメンね」
「ううん、私こそゴメン。皆の期待に応えられなくて」
「良いんですよ…！私達もちょっと追い詰めすぎちゃいましたから」
微妙な空気が流れた。せっかく女子会だなんだと賑やかだったのに申し訳ない。でもこればっかりはどうしようもないのだ。
さて、とAは話題を変えるために１度目を伏せ、隣にいたヒナの肩を掴んだ。暑い中パラソルの下を追い出した怨みを忘れるわけがないだろう。貴様も道連れだ。
「とりあえず私の話はこれで終わりにするとして……。彼氏持ちのヒナちゃんの話、聞きたいなぁ？」
「えっ！？私ですか！？」
「いーねいーね。恋人同士じゃなきゃできないアレコレの話……あるでしょ？」
「聞かせてくれるだろ？お？」
「わっ、わかりましたから！というか根に持ってますよね！？」
「ぜーんぜん？これっぽっちも」
「絶対嘘じゃないですか…！」
貪られまくった分、貪り返すのも悪くはないな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1095人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘川カズ子(プロフ) - コメ欄が最高すぎたので読もうと思いますありがとう☺️ (9月1日 10時) (
レス) id: 78f9ccd2f5 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - クッソイケメンじゃん。聞いてねぇよ。まさかめちゃくちゃイケメンとは、思わんやん。やべぇ好きだわ… (2021年7月30日 17時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 柳さん» おつかれサマンサ(違うそれは別のネタ) (2021年7月30日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 堕ちたわ。うんもう、夢にまで出てきた。 (2021年7月30日 17時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 『夏祭り』が終わったら続編いきます (2021年7月28日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時：2021年7月22日 13時
