＊ ページ15
「＿＿家、逆方向だったんやね」
三ツ谷宅に向かう道中でAは呟いた。多少は雨が弱くなったが、まだやむ様子はない。傘を握りしめ、すがるように三ツ谷の腕に自身の腕を絡めるAは弱々しいことこの上ない姿をしているだろう。
帰る際に通った道を再び歩かなければならないその道のりは、彼女を送るたびに三ツ谷が通っているもの。そう思うと少し申し訳ない。
「あー…、まあな」
「迷惑やない？」
「んなわけねぇよ。＿＿ほら、着いたぞ」
顔を上げると、彼の
三ツ谷は傘をたたみ、同じく傘をたたんだAの手を引いて扉を開く。異性の家にお邪魔するのは初めてかもしれない。ましてや不良の家など。少し緊張するが、心配することはないだろう。
扉が開くと、待ってましたと言わんばかりに２人の少女が走ってきた。片やツインテール、片やダブルお団子という可愛らしい髪型をしている。
「おかえりー！」
「お風呂沸いたよ！」
「ただいま。ありがとな」
「｢うん！｣」
どうやら件の妹達のようだ。合っているなら長女がルナ、次女がマナ。三ツ谷に頭を撫でられ、２人は嬉しそうにニコニコと笑っている。そしてAに目を向けると、飛び付くようにして抱きついた。
「わっ」
「美人好きぃー♥」
「好きぃー♥」
「こらこら、姉ちゃんが困ってるだろ。悪いな」
「全然。可愛くて良い子やん」
なぁ？とAは２人の頭を撫でる。運動靴を脱ぐと、彼女はルナとマナに両手を引っ張られ家の奥へと連れていかれた。
その様子を苦笑いで眺めながら、三ツ谷は傘を立てて靴を脱ぐ。誰に似たのやら、美人好きな２人の前でAは無力だ。騒がしくなる予感を感じながら、三ツ谷は居間に向かった。
「お姉ちゃん冷えてるね…」
「大丈夫？」
「んー、もとはと言えば私が鍵忘れちゃったのが悪いから。大丈夫だよ」
「そんだけ身体冷やしておいて何言ってんだ」
「ごめんなさい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1095人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘川カズ子(プロフ) - コメ欄が最高すぎたので読もうと思いますありがとう☺️ (9月1日 10時) (
レス) id: 78f9ccd2f5 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - クッソイケメンじゃん。聞いてねぇよ。まさかめちゃくちゃイケメンとは、思わんやん。やべぇ好きだわ… (2021年7月30日 17時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 柳さん» おつかれサマンサ(違うそれは別のネタ) (2021年7月30日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 堕ちたわ。うんもう、夢にまで出てきた。 (2021年7月30日 17時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望：我妻さん(プロフ) - 『夏祭り』が終わったら続編いきます (2021年7月28日 17時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名希望:我妻さん x他1人 | 作成日時：2021年7月22日 13時
