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3人の呪術師の視線の先には、親子連れがいた。赤子を抱いた母親と、5、6歳程度の少年。
3人は、その親子連れの会話に聞き耳を立てながら、用心深く近づいていく。
「__もう、秋人。どうして分かってくれないの?」
「やだ!お母さん、そんなの持ってかないで!やだ、やだぁ!」
「お兄ちゃんなんだから、へんな我儘言わないで。ほら……また夏輝が泣いちゃうじゃないの」
「やだぁ!やだぁ!お兄ちゃんなんかじゃない!」
夏輝、と呼ばれた赤子を抱きなおして、母親は困った顔を浮かべていた。もちろん秋人と呼ばれた子のことも大事なのだろう。
しかし、親とは幼子に敵わないものだ。どうしてもその赤子を気にせざるを得ないようで、小さな体を抱いて揺れる表情には、狂おしいほどの愛情が籠っている。
ぐずる少年に手を焼きながら、赤子をあやす母の姿。一般人が見ればなんの変哲もない、微笑ましい光景だろう。
下の子が産まれ、急に母親を取られた気になって癇癪を起こす幼子。大人ならば、よくあること、と笑い話ですませてしまうところだ。
だが、秋人という少年の様子は、子供の癇癪と言うには必死だった。親を取られまいとする気持ちに間違いはないだろう。しかしその敵意は、実の弟に向けるものとしては、刺々しすぎる。
母親もそれを分かっているのだろう。最初は苦笑ですんでいた表情が、徐々に困惑、そして憔悴、怒りへと変わっていく。
「どうしてそんなこと言うの!」
「だって、だって!」
「貴方の弟なのよ?かわいそうだと思わないの?」
「そんなの弟なんかじゃない!」
「っ、秋人!」
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柳(プロフ) - 匿名希望:我妻さんさん» あっ、ありがとうございますぅ(ニコニコ)ほら行くぞ麗音(お姫様抱っこ) (2021年4月8日 2時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 柳さん» どうぞどうぞ(ニッコリ) (2021年4月8日 1時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 匿名希望:我妻さんさん» はいそうです。お持ち帰りするね() (2021年4月8日 0時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん(プロフ) - 柳さん» ご注文は麗音ですか? (2021年4月6日 16時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 匿名希望:我妻さんさん» おぉ!マジか!!楽しみにしとく!! (2021年4月3日 14時) (レス) id: b155e22954 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望:我妻さん | 作成日時:2021年2月20日 19時