夜の皇帝となれ １

＊ ページ18

「って、ちょっと！あんたら！なんで私を差し置いてステーキ食ってんのよ！！レディーファーストとかって概念知らないわけ！？」


釘崎嬢は自分を差し置いてビフテキが食べられていくことがお気に召さなかったらしい。


「レディーファーストは女が死のうが男が無事なら良いって考えから作られた概念やで。ちなみに悟先生も差し置いとる」


「それにお前に付き合ってたら、店閉まっちゃうよ」


「冷めたビフテキほど悲しいもんないぞ」


しかしド正論で返され、怒る気も失せたらしく、釘崎は項垂れた。


「ふぁ〜もうなんなのよ。せっかくの東京初日なのに、紹介もステーキも最後ってわけぇ？」


「いいから食えよ。ほら、ステーキソース」


虎杖が慰めるように、という訳ではないがステーキを薦める。ステーキソースを釘崎の前に置いたが、


「なに、それ使わないわよ」


「え、じゃ何で食うんだよ」


「醤油とわさび」


「渋っ！！お前本当に高一！？」


「無理してんだろ」


「してねーよ」


「通やねぇ」


まさか醤油とわさびで食べようとは、という反応がほとんどだ。それを通だと言う宵蔵は歳なのだろう。まだ23だが。


「んっはははは、いいねぇ〜。親睦深まってるじゃない！」


「ど！こ！が！よ！」


「この調子でさ、４人いろいろ出かけて仲良くなってよ。さんぽさんぽ！」


楽しそうに五条が言うが、釘崎はやはり不満の様子。宵蔵も車持ちだからか少し嫌そうだ。


｢はぁ〜？この芋くさい男と偉そうな男と帝夜姉の４人で散歩！？無理無理無理無理、冗談じゃないわよ！！」


「大丈夫、任務とくっ付けとくから」


「余計嫌やわ」


「あ、お土産もお忘れなくねぇ」


そこは流石は五条、ちゃっかりしている。


「伏黒、お前芋くさいって言われてるぞww」


「お前だよ！」
「お前だろ！」
「お前やわ！」

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