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「怖かっただろう。よく頑張ったな、A。」
優しく頭を撫でる父の体温に、鼻の先がツンとする。
「ありがとう…」
「気分はどうだい？」
「…うん、悪くないよ。」
キースはその言葉に頷いた。
「もうすぐ宴会が始まるはずだ。行けるかい？」
「うん」
Aはベッドから降り、靴を履く。
眠っていたからか、頭痛もめまいもなくなっていた。
「うん、もう大丈夫よ！体調がすごくいいわ。」
「そう？…本当によかったわ。」
「心配かけて、ごめんなさい。」
「さあ、早く元気な姿を皆に見せてきなさい。」
「…うん、いってきます！」
Aは三人に手を振りながら医務室を出て、大広間に向かって走る。
大広間の扉の前で一度立ち止まり、はずんだ息を少し整えて扉を開ける。
「え…。」
大広間は静かになっており、皆は一斉にAの方を向いた。
Aは驚きと気まずさで動けなくなっていたが、グリフィンドールのテーブルの方で、誰かが立ち上がったのが見えた。フレッドとジョージだ。
Aの足は自然と動きだし、勢いよく抱き着く。二人はAをしっかり受け止めてくれた。
「おかえりA！」
「本当によかった！」
「ただいま！」
「さあ、座って！」
「あ、うん！」
数か月ぶりとは思えないほど、三人は自然に話せた。
やはり、二人の間にいるのが一番落ち着く。
「うむ。これですべての生徒が集まったのう。では、宴を始める前に、拍手で称えよう。スプラウト先生とマダム・ポンフリーを。お二人がマンドレイク薬で石になったものを全員、元に戻してくださった。」
大広間は拍手で包まれる。
Aも大きな拍手を送った。
「また、最近の出来事を考え、期末試験は…取りやめとする！」
その言葉に、皆はもっと歓声を上げた。
ハーマイオニーとAだけは落胆しており、目が合って思わず笑ってしまった。
そんな中、またもや扉が開き、皆が振り向く。
大広間に入ってきたのは、アズカバンに送られていたハグリッドだった。
「遅くなった。例のフクロウ便が道に迷っちまってな。エロールちゅうやつだ。」
ハグリッドはハリー達の前に立ち、三人に感謝を伝える。
ハリーは椅子から立ち、ハグリッドに抱き着いた。
ダンブルドア校長、マクゴナガル先生と拍手し始め、それは広がっていく。
会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
