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ジニーに連れられてきたのは、1階の女子トイレ、嘆きのマートルがいると言われているトイレだった。
そこで“彼”は不思議な言葉…ハリーが決闘クラブで発したものと似ているものを口にすると、手洗い場が動き始めた。
太いパイプがむき出しになると、ジニーはAの腕を引き、その中を降りて行った。
曲がりくねったパイプを滑っていく。やがて出口が見え、二人の体が放り出された。
ジニーは無言で暗いトンネルの中を進んでいく。二人分の足音と、ピシャッピシャッという水音、そしてたまになる何か固いものを踏んづけたときに鳴るバリンという音が響いた。
Aは頭痛とめまいが再び起こり始め、足元が少しふらつく。
しばらく進んだところでジニーがまたあの言葉を発した。すると、扉のヘビが動き出し、鍵が開く音がした。
梯子を下りると、そこには左右に並ぶヘビの石像と、その真ん中にそびえる大きな顔の石像があった。
その石像の前まで連れてこられる。そこでジニーの手が離された。彼女はハッと顔を上げた。
「えっ…あ、A…ここはっ」
「秘密の部屋だよ。」
陰から誰かが歩いてきた。
背の高い、黒髪の少年。Aはジニーを背中に隠しながら、恐怖で震える手で杖を取り出す。
「誰？」
「トムさ、トム・リドル。」
「なぜ、貴方がここにいるの？」
「そこのおチビちゃんが、僕に秘密を、恐れを、そして魂を注ぎ込んだんだ。」
「全部あなたのせいだったのね！！」
ジニーは泣きながらトムに向かって叫ぶ。
彼はそれを冷たく見た。
「僕のせい？君が、目に見えない、誰かもわからない、僕に心を開いたのがいけないのだろう？」
「あたし、貴方の事、友達だとっ思ってたのに！！」
「友達？」
リドルは冷たい甲高い声で笑った。
その様子が怖くてたまらない。
「僕は一度もそう思ったことがないよ。君との話はつまらなかった。うんざりだ。辛抱強く返事をした僕を褒めてほしいぐらいだね。」
「そんな…ここから出してよ！！」
「それは無理な話だ。すべてを知っている君たちを返すわけにはいかない。それに、もうすぐ、ジニーは君の命は尽き、僕はその日記から抜け出し、復活する。…ああ、どうやら意識が混濁してきたようだね。」
後ろを振り返ると、頭を押さえてふらふらとするジニーがいた。
彼女は力が抜け、今にも倒れそうだった。Aはそれを支える。杖は、カランと音を立ててリドルのそばに落ちた。
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
