91 ページ41
朝食の時、リーがいつAに声を掛けようかと様子を窺っていたが、少しだけ食べた後、すぐに席を立ってしまった。
「…A、どうしたんだろう。」
「起きたときから体調がよくないみたいよ。今日は休むと思うわ。」
近くに座っていたアリシアがそう教えてくれた。
「今日は無理そうだな…。」
「仕方ないさ。いつも頑張ってんだ。今日はゆっくり休ませてやろうぜ。」
三人はそのまま朝食を食べ終え、引率の先生についていき授業に向かった。
2限目も終わる頃、休憩時間を知らせるベルはならず、代わりにマクゴナガル先生の声が響いた。
「生徒は全員、それぞれの寮にすぐ戻りなさい。教師は全員、職員室に大至急お集まりください。」
皆、何が起こったのか察した。
新たな犠牲者が出たんだろう、と。そこでふと、フレッドとジョージはAが心配になった。でも、きっと大丈夫、彼女に限って一人で寮の外に出ることはないだろうし、なにより彼女は純血だ、と自分たちに言い聞かせた。
皆と一緒に談話室に戻ってきた。少し遅れてハリーとロンが戻ってきたが、顔色が悪かった。ジョージが尋ねるも、二人は何もしゃべらなかった。
生徒が全員談話室に集まっている中、どたどたと二つの足音が聞こえてきた。皆、その音がする方に注目する。
走ってきたのは顔面蒼白のアンジェリーナと一年生の女子生徒だった。
「Aがベッドにいない！」
「ジニーも、ジニーもいないの！」
一気に談話室が騒がしくなる。
フレッドとジョージは言葉も出なかった。大切な妹と大好きな恋人が、多分、いや絶対、被害にあったのだ。
そこに、マクゴナガル先生が入ってきた。先生は震える声を抑えながら話し始めた。
「またしてもうちの生徒が二人も被害にあいました。A・ノーランとジニー・ウィーズリーです。さらに、今回は『秘密の部屋』に連れ去られてしまいました。」
誰も声を発さなかった。発することができなかった。
マクゴナガル先生が話を続ける。
「もう、今のホグワーツは危険です。明日一番のホグワーツ特急で皆さんを帰宅させます。各々準備をしておいてください。当たり前ですが、この寮から一歩も出てはいけません。私は、これ以上被害者が出てほしくはありません。」
「監督生の皆さん、頼みましたよ」最後にそう言ってマクゴナガル先生は出て行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
