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しばらく抱きしめ合っていたが、ドアの向こうから、ジニーのAを呼ぶ声が聞こえたため、名残惜しいがAは戻ることにした。
ドアを開ける前に、ちらりと双子の方を向いて恥ずかしそうに微笑んだ。
「…私、二人のお嫁さんにならなりたいかな。」
フレッドとジョージが再び固まる。Aはその間にさっと出ていった。
パタンというドアが閉まる音で硬直が解け、それぞれのベッドにへなへなと座る。
「…何あれ。ズル。」
ジョージが閉められたドアを見る目ながらぽつりと呟いた。
フレッドは枕に顔をうずめてる。
「キスされるかと思った…。」
Aがフレッドの頬に手を添え見つめられた時、フレッドは焦りつつ、少し期待をしていた。
口にキスされると思ったからだ。
その後、頬や額に何度も口付けられ(それはそれでびっくりしたのだが)、口ではなかったことが少し残念だった。
三人はそういうキスはしたことがなかった。フレッドとジョージも興味がないわけではない。しかし、実際するとなると恥ずかしくて、なかなか勇気が出なくてできないのだ。タイミングもわからない。
「僕たち来年、15歳だぜ？」
「したいよな…。」
フレッドは先ほどのAの顔を思い出して、再び顔を埋めた。
**
「さあ、ジニー。詳しく聞かせてちょうだい。」
いつものお返しとばかりに、Aはわくわくした様子でジニーに詰め寄る。
「う〜…。」
「いつから？」
「…去年のキングズ・クロス。9と4分の3番線に行く前にたまたま会ったの。その時から、気になってて。」
「うんうん。」
「そんな時に、ロンたちがうちにつれてきたの！連れてきた日、いるなんて知らなくて、寝起きのまんま下降りちゃったのよ！ママにセーターの場所なんか聞きながら！」
ジニーは眉間にしわを寄せて声を荒げる。しかし、すぐ顔を覆って落胆してしまった。
「それに驚いちゃったから、ろくに挨拶できなかったの…。しかも、ハリーがいたら緊張しちゃって飲み物とかオートミールとかひっくり返しちゃうの…。今日も飲み物こぼしちゃった…。」
「なるほどね…。」
「ねえ、Aはあの二人の前で緊張しないの？」
「…緊張はしないけど、よく見せようとはしてるかも。」
「よく見せる？」
「うん、ミスとか先生に怒られた事とか、あんまり言わないかな。」
「…私、変な子って思われてそう。」
「大丈夫よ。ハリーは優しいし。」
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
