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「本当にうれしかったの。こんなにあたしをわかってくれる人はいないって。…でも、だんだんおかしくなっていったの。」
ジニーの声が少し震える。
「いつの間にかローブに鶏の羽根がたくさんついていたり、ハロウィンの夜、ミセス・ノリスが襲われた時、ローブに赤いペンキがべっとりついていたり…でもあたし、全然記憶がないの。他の皆が襲われた時も、自分がその時間、何をしていたか全然思い出せなくて。それで、皆を襲っているのはあたしなんだってわかった…。」
「それも彼に相談してたんだけど、だんだん変だと思ってきて、この日記をトイレに捨てたの。1階の女子トイレ。それなのに、ハリーがこれを拾ってしまったの！あたし、リドルがあたしの事を彼に伝えてしまったらって思ったら怖くて、彼の寝室に取り戻しに行ったの…！」
「この日記をどうしようって思ってたら、ハーマイオニーも襲ってしまっていて…A、どうしよう…あたし…あたし…」
彼女の声が大きく震え始め、目には涙が滲んでいた。
Aはジニーの頭を抱きしめる。今のが作り話で、これまでが演技だったとは思えない。そもそも、そんなことをする子ではないというのは良く知っている。
「ジニーはその人に操られていただけ、でしょう？犯人はリドル。でも…」
ここでAの頭に、先生に話して、彼女が退学させられたらどうしようという不安が浮かび上がった。
マクゴナガル先生やスネイプ先生がジニーの話を信じてくれるだろうか、作り話だと思われてジニーが処罰を受けないか、と。
どうするのが良いのか、思考を巡らせていた時、ジニーが顔を上げ、Aから離れた。
Aは彼女の顔を見て、声が出せなくなった。
目はうつろで、何より雰囲気が普段と全く異なっていた。ジニーなのに、ジニーじゃなかった。きっと、“彼”だ。
そのままふらふらと部屋を出て行った。Aが呆然としていると、ドアが開いた。
「来て。」
ジニーはAの手を強く握り、寮を出た。
授業が行われている時間のため、廊下は静かで、それがAの恐怖心を掻き立てる。
Aはジニーに連れられ、3階に来た。ちょうど、最初に文字が書かれた壁の前。
ジニーはそこに文字を書き始める。Aは恐怖から声も出せず、手は信じられないほど強く握られていて逃げられそうにもなかった。
“彼女たちの白骨は永遠に「秘密の部屋」に横たわるであろう”
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
