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朝、目が覚めて身支度を整えた後、アンジェリーナとアリシアと共に大広間に来た。
「二人とも、なんか楽しそうね。」
「まあ、そりゃね」
二人が朝から楽しそうな理由はわからなかったが、探る気もなかった。
扉を開け、Aは呆然とした。
壁は大きなピンクの花で覆われており、天井からはハート型の紙吹雪が舞っていた。
「何事…？」
「A、今日は2月14日よ？」
「…バレンタインね。」
バレンタインだからと言って去年まではこんなことになっていなかったのに。
そう思いながらグリフィンドールのテーブルに座る。あたりを見渡していると、先生たちの席が異様な雰囲気を放っていることに気が付いた。
ロックハート先生は壁の装飾と同じような色のけばけばしいピンクのローブを身にまとって、笑顔を浮かべている。
周りに座る先生たちは彼とは正反対に無表情で、マクゴナガル先生は頬を痙攣させ、スネイプ先生は明らかに不機嫌な表情をしている。
今日は魔法薬学の授業がある上、放課後には実験を見てもらう予定だったのに、と少しその時のことを考えて憂鬱になった。
「またあの人なのね…。」
変な雰囲気の大広間にげんなりしながら、とりあえず朝食に手を付け始めた。
しばらくすると、ロックハートは話し出した。
「バレンタインおめでとう！今までのところ46人の皆さんが私にカードをくださいました。ありがとう！そうです、皆さんをちょっと驚かせようと、私がこのようにさせていただきました。…しかも、これがすべてではありませんよ！」
「私も彼にカードを送ったの。受け取ってくれてると思うわ。」
「…そうだといいね。」
Aには彼の素晴らしさがよくわからなかったが、人の趣味にとやかく言うつもりはないので、頷いておいた。
ロックハートが手を叩くと、不愛想な顔の、金色の翼がつけられハープを持たされた小人が12人ほど入ってきた。
「私の愛すべき配達キューピッドです！今日は学校中を巡回して皆さんにバレンタイン・カードを配達します！」
さらにロックハートは「愛の妙薬」や「魅惑の呪文」について、スネイプ先生やフリットウィック先生を巻き込み始めた。
フリットウィック先生は両手で顔を覆い、スネイプ先生は本当に毒薬の飲ませてしまいそうな程不機嫌になった。
バレンタインのことなどすっかり忘れていたAはカードなど一枚も書いていなかった。
今は渡せる相手もいないのだが。
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
