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「ロン！」
慌てて駆け寄ると、ロンは気持ちが悪そうな表情をしている。
ハーマイオニーの問いかけにも答えられないようだ。
Aも声を掛けようとしたとき、彼は1匹のナメクジを吐き出した。
「…ハグリッドのところに行こう。一番近い。」
そう言ったハリーとハーマイオニーに支えられながら、ロンは立ち上がる。
その間もナメクジを吐き続けた。
後ろではスリザリンチームの人たちがゲラゲラ笑っている。
去って行く三人を見た後、Aはいまだに笑い続けるドラコを見た。
「
彼女は素早くローブから杖を取り出し、その先をドラコに向けた。
口が消えて喋れなくなったドラコは驚き、少しおびえた様子でAを見る。もう笑い声は聞こえない。
「ドラコ、貴方がそんなに下品だとは知らなかったわ。一体、ルシウスさんとナルシッサさんはどのような教育のされていっらしゃるの？」
杖の先をドラコに向けたまま、Aはゆっくりと近づく。
細められた目の奥の瞳は、いつもと同じすみれ色のはずなのに、いつもよりも冷たい。
普段の真面目ながら優しく柔らかい雰囲気は一切なく、その場にいた人は皆、動くことができない。
「あなた達は最新の箒を買ってもらう前に、マナーを一から教えてもらってはどうかしら。」
スリザリンチームの人を一人一人ゆっくりと睨んだ後、呪文を解き、杖をしまう。
そのまま、ばっと振り返ってウッドの方を向いた。
「失礼するわ。」
そう言うと、ベンチに置いたままだった本を持ってすたすたと去って行った。
「あなた達の彼女って…」
「…最高の魔女だろ？」
しばらく歩き、中庭が見なくなった頃、Aは心の中で自分の行動を少し後悔していた。
ドラコに腹が立ったのは確かだし、ハーマイオニーが言われたことに比べれば、少しの間口が消されるぐらいじゃ足りないとは思っていた。
しかし、あのドラコ・マルフォイに対して杖を向けてしまったのだ。
彼を可愛がっているスネイプ先生がこのことを知れば、もう何も教えてくれなくなるかもしれない。
さらにルシウスさんの方に話がいけば父親や家にも悪い影響があるかもしれない。
カッとなって軽率に行動してしまった事で自分だけでなく周りにも迷惑がかかるかもしれない。
冷静になった頭でそう考えて、廊下で項垂れた。
「どうしよう…。」
Aは重い足取りで廊下を歩き、寮に戻っていった。
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
