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次の瞬間、ジニーの大なべは宙に飛び、頭上から本がドサドサと落ちてきた。
アーサーがルシウスに飛び掛かったのだ。ルシウスの背中は本棚に叩きつけられた。
「やっつけろ、パパ！」
ジョージがアーサーを煽る。Aは「ちょっと！」それを注意する。
モリーが悲鳴を上げ、店員が叫んでる。
「やめんかい、おっさんたち、やめんかい。」
どうしたらいいのか、と戸惑っていた時、ハグリッドが大きな声で注意し、二人を引き離してくれた。
ルシウスは持っていったジニーの本を突き出す。
「ほら、チビ、君の本だ。君の父親にしてみればこれが精一杯だろう。」
そんな捨て台詞を吐いて、彼はさっさと店から出ていき、ドラコもそれに続く形で出ていった。
「相変わらずやな奴。」
「A、よくあんな風に言い返せるね！」
「前にルシウスさんと会ったとき、お父さんがあんな風に返してたの。だから真似してみただけよ。」
「君のパパってやっぱすごいや。」
ハグリッドに促され、一行は本屋を出る。
その時、また、彼の声が聞こえた。
「今の、あちらであった喧嘩を記事にしてくれませんか？…私の宣伝にも繋がりますし。」
そんな内容が聞こえて、Aは大きなため息をついた。
「私、あの人苦手よ…。」
「僕らも。」
一行はしょんぼりしながら漏れ鍋に行き、グレンジャー一家はそこからマグルの世界へ、ウィーズリー家とハリー、Aは暖炉から隠れ穴に戻った。
台所の椅子に座って、今日買った本を読んでみるが、予想通り、教科書としての価値は低いように思う。
彼の自慢話や、個人的な好みが頻繁に出てくる。
ただ、彼は文章を書く才能はあるらしい。小説として読むのであればそこそこ楽しめる。
「そんな教科書も真面目に読むのかよ。」
ジョージが呆れたような声で言った。
「小説として読むのなら、そこそこいいわよ。」
「ファンになる？」
「これを教科書に指定してくる人のファンにはなれないわ。」
「安心した。」
彼はAの隣に座って頬杖を突き、本を読む恋人の横顔を眺めた。
Aはその視線が気になって、読むことに集中できない。
「…なに？」
Aがそう聞くと、ジョージは何かを言いかけたが、口を閉じてしまった。
「…ううん。何でもない。」
Aはその様子を不思議に思いつつ、できるだけ彼の視線を気にしないようにしながら再び本を読み始めた。
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
