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ついにウィーズリー家に行く日になった。
宿題は一昨日の夜に終わり、昨日は泊りのための荷造りをしていた。
休日の朝、コートを着て、見送りに来たキースとエラ、オークリーの方を振り返る。
「それじゃあ、行ってきます。」
「モリーとアーサーによろしく。」
「1週間、楽しんでおいで。」
「うん。わかったわ。」
エラが差し出した植木鉢から煙突飛行粉を掴み、暖炉の炎に振りかける。
エメラルドグリーンに変わった背の高い炎の中に入り、「隠れ穴！」とはっきりと叫んだ。
「A！いらっしゃい！」
「モリーおばさん、お世話になります。」
暖炉から出てきたAを、モリーはハグで迎えた。
まだ朝が早いため、子供たちは誰も起きていないとのことなので、荷物は暖炉の近くに置いて、モリーさんの朝食の準備を手伝うことにした。
「あら、ゆっくりしていていいのよ？」
「なにかしたい気分なんです。」
「それじゃあ、ここの野菜を切るのをお願いしようかしら。あ、はい、エプロンよ。」
「ありがとうございます。」
モリーに渡されたエプロンを身につけ、キッチンで作業し始めた。
隣でモリーが呪文を唱えながらチキンの下ごしらえと調理をしている。
早く17歳になりたいな…とぼんやり思いながら黙々と手を動かす。
しばらくすると、パタパタという足音が聞こえてきた。
「A！」
呼ばれて振り返ると、ジニーが駆け寄ってきた。
「ジニー、おはよう。久しぶりね。」
「久しぶり！Aが来てくれるの、楽しみにしてたの！」
「ふふ、うれしいわ。」
「ジニー、早く顔を洗ってきなさい。彼が起きる前に。」
「ああ、そうね！」
モリーにそう言われたジニーは慌てて洗面所に向かっていった。
『彼』とは誰だろう、と一瞬疑問に思ったが、家族以外の男性など一人しかいない。
「モリーおばさん、もしかしてそういう感じですか？」
「ええ。」
Aはいつもは自分が話してばかりだったジニーとの恋バナが楽しみになった。
身支度を整えに行ったジニーと入れ替わるように、アーサーが起きてきた。
「おや、A！来ていたのだね！」
「アーサーおじさん。お久しぶりです。お世話になります。」
アーサーはAとハグした後、席に座った。
Aは作業を再開する。
「…うん。いいね。」
「あら、どうかしました？」
「いや、ちょっと…。いい眺めだなと思ってね。」
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作者名：Violet | 作成日時：2022年2月27日 18時
