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そこからは何も手がつかなかった。
高校最初の夏休み、ただ時間だけが過ぎていく。
Aや康二に連絡する気にももちろんなれず、2人からの連絡の返事もよりそっけなくなっていた。
そうして迎えた、夏休み最終日。
朝の早い時間に、部屋のドアを少し荒々しく叩く音。
歯磨きと洗顔終わったばっかなんだけど。
だけどドアを開けて驚いた。
「...A」
「蓮。どうせ宿題まだ終わってないでしょ」
「完全に忘れてた」
「何してんの。手伝ってあげるから今からするよ」
「え、今から？ここで？」
「他にどうすんの？」
「...いや、学校行ったほうが集中できるかも」
正直、部屋でAと2人きりは色々まずい。
俺なりの配慮だった。
そんな思惑は当然知らないAだけど、俺の提案を了承してくれた。
2人だけの通学路。
康二が合流しないのが何だか懐かしくて変な感じがする。
「蓮、最近元気ないね」
「...そう？別に普通だけど」
「康二も心配してたよ」
誰のせいで。
そう言いたい気持ちを抑えつけて、
「...Aも心配してくれてたの？」
試す言い方にもAは顔色一つ変えず、
「当たり前じゃん。心配だったよ」
いつも通り優しいから、苦しいのに嬉しい。
「A、めめ！」
学校に着いてすぐ聞こえた声。
部活前だろうか、康二が俺らのところに駆け寄ってくる。
「康二おはよう」
笑顔で呼びかけるAを見て、今度は心臓がキュッとなる。
「久しぶり、めめ」
「...久しぶり」
「今から蓮の宿題手伝うんだ」
「まだ終わってへんのかい。頑張れ」
「うん」
康二の笑顔に何とか合わせてやり過ごした。
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作者名：キキララ
| 作成日時：2021年9月19日 23時
