18. 霧野さんの苦手な彼(＊) ページ18
予想通り
星章学園は圧倒的実力差で雷門に勝利
試合の熱気が残る中
人も疎らな観客席で彼は待っていた
制服姿の霧野を視界の端に捕らえた彼は
形の良い唇を微かに緩める
「残念だ。折角君のプレーを観に来たのに」
怪我をした脚には一瞥もくれず対峙する彼に
彼女は少なからず嫌悪感を露わにしていた
光を失った灰色の瞳に見つめられると
何もかも見透かされているような気さえする
「フィールドの悪魔と天使。共演が楽しみだ」
「そんなことを話す為に私を呼び出したんですか？＿＿＿＿野坂さん」
壁に背を預ける彼に
霧野の冷たい視線が刺さる
相変わらず厳しいね、と
飄々とした微笑を浮かべたままで口を開く野坂
「君はいつこっちに来るのかな」
「言ったはずです。王帝月ノ宮に行く気は無いと」
「…アレスに、恩を仇で返すつもりかい？」
彼の纏う空気が一気に張り詰める
霧野は怯むことなく真っ直ぐに野坂を見つめた
「アレスが恐れていたのは帝国が強くなること。私が星章に進学した時点で、そちらが予測していた最悪のシナリオを辿ることは無くなったはずです」
「へえ、言うようになったね。悪くない」
「…何が言いたいんですか？」
「別に。俺はただ、君とサッカーがしたいだけだ」
伸びてきた彼の手が髪に触れる
指先で掬った髪に唇を寄せた野坂が
至近距離で顔を覗き込んだ
「このままじゃ、星章は必ず負ける。敗北なんて言葉、君に相応しくないだろう？」
唇を噛んだ霧野は彼の肩を押す
スカートから伸びる怪我をしていない右脚が
彼の腰のすぐ横の壁を蹴った
「星章は負けない。たとえあんたと戦うことになっても、私が星章を勝利に導いてみせる」
静かな闘志に満ちた瞳
思わず惹き込まれそうになるも
野坂は興奮を隠しながら問いかける
「君が星章に肩入れするとはね。好きな人でも出来たかな」
「…貴方に話す義理はありません」
「いいね、君は本当に攻略し甲斐がある」
霧野の後頭部に手を回した野坂は
彼女を強く引き寄せた
抵抗する一切の暇も与えず
噛み付くように唇を奪う
「＿＿＿＿っ、触る、な……っ！ん……っ」
簡単に侵入を許された熱い舌が
霧野の口内を引っ掻き回す
自分より背の低い霧野に合わせるように
腰を曲げてキスを繰り返す野坂
「ぜっ、たい…許さない…っ」
吐息混じりに零れた彼女の声は
憎しみに満ちていた
(ほら、早く俺に堕ちたら？)
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ユナ - 更新頑張って下さい (2019年1月27日 8時) (
レス) id: 9a61cb59d8 (このIDを非表示/違反報告)
天麻 - とても面白いです 更新頑張ってください (2018年8月6日 11時) (レス) id: 59f8b0c9ad (このIDを非表示/違反報告)
しろ@超低浮上(プロフ) - しおらんさん» ありがとうございます！全く更新出来ず申し訳ないです…気長にお待ちいただければと思います！ (2018年7月1日 17時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く面白いです！灰崎かっこいい！鬼道~！更新楽しみにしています！ (2018年6月28日 22時) (レス) id: 097333551a (このIDを非表示/違反報告)
葉咲 桜 - しろ@超低浮上さん» 霧野、霧野、霧野、、、。あー！！霧野！ (2018年5月16日 19時) (レス) id: 788ddd7239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2018年5月7日 11時
