12. 灰崎のやる気スイッチ ページ12
「今日、帝国と練習試合なんたけど」
「＿＿＿＿へえ」
「何よ、反応薄い」
翌日帰宅しようとした灰崎に声を掛けたのは
相変わらず愛想の欠片も無い霧野だった
クラスメイトには笑顔を振り撒いているくせに
自分に対して当たりが強いことを
灰崎はそれとなく気にしているのだが
彼女自身気付くはずも無く今に至る
「昨日の練習でフォーメーションの確認とか諸々したんだけど、あんたも出る気があるなら来るようにってキャプテンが」
「お前、出るのかよ」
「うん。あんたが居ないならFWは私1人…必然的に星章のエースストライカーの座は私の物になるけど？」
挑発するような口調
水色の瞳の奥に滲む静かな闘志が
灰崎の心を揺さぶる
「…仕方ねえ。出てやるよ」
灰崎のやる気に火を付けよう等という意図は
彼女の頭に少しも無かったのだが
結果として彼は試合に出場することを決めた
この灰崎の決定には
水神矢をはじめとする部員達も驚きを隠せず
何とも言えない微妙な空気が満ちていく
「霧野。お前一体どんな手を使ったんだ？」
「あの灰崎をやる気にさせるなんて…」
首を傾げる白鳥と水神矢
自分がやる気に火を付けたとは思いもせず
黙々とアップをする灰崎を眺める霧野
「いや、私はただ声掛けただけで＿＿＿＿」
「思ってたんだけど、灰崎って絶対霧野さんのこと好きだよね」
「あ、俺もそう思ってた。キャプテンが声掛けても大した返事しないのに、霧野さんが声掛けたら試合出る気になるなんて…」
「いやいや、絶対無いですよ」
早乙女と八木原の盛り上がりに
小さな溜息を零す
先日音無にも同じようなことを言われ
参っているところだったのだ
浮ついた話は聞く専門
自ら好んでそういった類の話をすることはない
冷めてるといったらまだ聞こえは良いが
ただサッカー以外に興味が無いのは困り物だ
「＿＿＿＿来たな」
鬼道の一言に場が静まり返る
彼の目線の先
深緑色のユニフォームが並んでいる
朱色のキャプテンマークを見つけて
霧野は懐かしげに目を細めた
その眼差しは
灰崎が見たことのない程穏やかで
特別な感情を抱いていることを感じさせられる
「鬼道！久し振りだな」
「ああ。わざわざ来てもらってすまないな」
「いや、新入生の顔も見ておきたかったしな＿＿＿＿って、A…？」
目を丸くする彼に
霧野は花が綻ぶかのような微笑みを向けた
「ご無沙汰しております…佐久間さん」
13. 悪魔の微笑みは魅力的→←11. 先輩が訪ねてきた時焦りますよね
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユナ - 更新頑張って下さい (2019年1月27日 8時) (
レス) id: 9a61cb59d8 (このIDを非表示/違反報告)
天麻 - とても面白いです 更新頑張ってください (2018年8月6日 11時) (レス) id: 59f8b0c9ad (このIDを非表示/違反報告)
しろ@超低浮上(プロフ) - しおらんさん» ありがとうございます！全く更新出来ず申し訳ないです…気長にお待ちいただければと思います！ (2018年7月1日 17時) (レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く面白いです！灰崎かっこいい！鬼道~！更新楽しみにしています！ (2018年6月28日 22時) (レス) id: 097333551a (このIDを非表示/違反報告)
葉咲 桜 - しろ@超低浮上さん» 霧野、霧野、霧野、、、。あー！！霧野！ (2018年5月16日 19時) (レス) id: 788ddd7239 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しろ | 作成日時：2018年5月7日 11時
