問題児が2年生になった件について【星章学園】 (ページ1)

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00. 噂に聞く天使と悪魔ページ1

「失礼します！入部希望です…！」

入部を希望する新入生が次々と訪れる
星章学園サッカー部の部室

緊張の面持ちの少年達を迎えるのは
正反対の印象を与える男女だった

「こんにちは。部室では部員との懇談、グラウンドでは部活動体験が出来ますが、どちらをご希望ですか？」

「チッ、またかよ…。一体何人来るんだ」

「灰崎、そういうこと言わないの。またビビって逃げられたらあんたのせいだからね？」

天使のように微笑む女子生徒と
悪魔のように不機嫌な男子生徒

彼らが噂に聞く"フィールドの天使と悪魔"だと
少年達は悟ることになる

「星章学園サッカー部に入りたいっつーくらいなら、ある程度の実力はあるんだろうな？」

「だからそうやってビビらせるのやめてって」

「俺らは今年こそフットボールフロンティアで優勝しなきゃいけないんだよ。使えない奴は必要無い。勝てるチームを創る為に新入部員を募ってるんだろうが」

獲物を前にした獣のように
ギラギラとした眼で語る灰崎

一方の彼女ははいはい、と聞き流す

昨年はまさかの敗退を喫した星章学園

リベンジを果たす為
厳しい練習を続けてきた部員達

当初はチーム等お構い無しだった灰崎も
チームの要と呼ばれる程に成長していた

一方の彼女も灰崎に負けず劣らず

アレスの天秤プログラムから足を洗って
更にプレーの切れ味が良くなったと専ら噂だ

互いに置ける信頼も厚くなり
2人が揃ったフィールドに敵は無しといったところか

中学サッカー界では"天使と悪魔"として
その存在を知らない人は居ないと言われている

「ビビらせちゃったらごめんね。知ってるかもしれないけど、この人怖くって」

「うるせえ、お前の方がタチ悪いだろうが」

「…兎に角！入部希望なら大歓迎よ」

ふわりと笑った彼女に見惚れる少年達

灰崎は小さく舌打ちをした

「あの、先輩のお名前は…」

「俺はFW2年の灰崎凌兵。で、こっちが」

「同じくFW、2年の霧野Aです。宜しくね」

無事に進級出来たのは良いものの
相も変わらず問題児な2人

部室の奥では2人の様子を見守る部員達の影

「灰崎の奴、まーた新入生威嚇してるよ」

「どうするキャプテン。このままじゃ新入部員の歓迎は難しそうだが」

「…いや、大丈夫だ。此処は霧野に任せよう」

2人の背中を見つめる水神矢の瞳には
信頼と優しさが浮かんでいた