見えない、聞こえない、届かない。 (ページ2)

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2・手紙ページ2

僕には透明人間になってから毎日欠かさず行っていることがある。
それは手紙を書くことだ。＜誰に宛ててるのかもわからない手紙を永遠と描き続ける。(物質はすり抜けない)
僕が見えていない他の人から見ればペンだけがひたすら動いている光景はさぞ不気味であろう。普通にホラー現象だ。

手紙を書いている、なんて言うがどちらかと言うと日記みたいなものだ。ただそこにところどころ疑問符を入れてもしかしたら手紙を読むかもしれない誰かに宛てて質問をしているだけ。まぁ読む人はいないかもしれないが。
あともう一つだけ手紙に書いていることがある。

…本当は誰に宛てていたのかなんて分かっていたかもしれない。
僕はいつも日記を書いていると必ずどこかに君の名前を出してしまうのだ。
君と一緒だったら楽しかっただろうな、とか君と一緒に水族館に行きたいななど、必ずどこかに君のことを書いてしまっていたのだ。君が読むかなんて分かりもしないのに、君のことをどうしても書いてしまう。自分から忘れるなんて言ったのになんと滑稽であろう。君のことを忘れられない。
いや、忘れないために書いているのかもしれない。こんなにどうしようもない気持ちになってしまうのにどこかで君のことを忘れたくなかったんだ。
「はぁ、ほんっと参っちゃうなぁ…」
思わずため息がでた。僕はこんなにも君のことを忘れたくなかったんだと思うと余計に苦しくなった。
いつの間にか目頭が熱くなっていた。
僕は溢れ出す何かを必死に誤魔化すように天井を見た。よし、大丈夫だ。僕は1人でも大丈夫だ。
必死に唱えた。

それから少しして僕は誰かに宛てた手紙を封筒に入れてシールを付けた。
手紙BOXはもう少しで溢れだしそうだった。その光景に何かがこみ上がって来そうになったけれど僕は気付かないふりをして手紙BOXの蓋を閉じた。
そしてそのままベッドにダイブをし毛布にくるまって気付かぬうちに夢の世界へと旅立っていた。