壁ひとつのお隣さん【五等分の花嫁】

『繋がれた手はどこまでも暖かかったの。』 ページ8

三「Aさん、今日も暑いですね」

『そうですね、あ、あの手離してくれませんか…？』

三「…繋いでたら嫌ですか？」

三玖さんは不安そうに私のことを見てきた。

私はその顔を見たら言いたかった言葉も出なくなってしまった。



『い、嫌ではないです…』

私がそう小さく言うと三玖さんは嬉しそうに微笑んだ。

三「よかった…

あ、ならどうして離してほしいんですか？」

三玖さんは不思議そうな顔で私のことを見てきた。



『あ、えっと…そんなに慣れていないので。こういうことは。』

私があまり目を合わせたくなくなってしまい(恥ずかしいので)、目を逸らしながら答えた。

三「そうですか…嬉しい…

では、これから慣れていけばいいんですよ。」

そう言い三玖さんは嬉しそうに手を握る力を強くした。

何故かこのやりとりが少し嬉しく感じてしまった私はおかしいのだろうか。

いや、やはり気のせいだ。私は嬉しくなんて…




三「Aさん。」

『ひゃい！？』

急に声をかけられてしまったせいか私は変な声を出してしまった。

三「ふっ、なんでそんなに驚いてるんですか。

何考えてたんです？」

三玖さんは私の顔を覗き込むようにして首を傾げた。





『な、なんでもないです…』

私は何事もないように隠そうとした。

しかし、三玖さんは何かに気付いたらしくそうですか、といって小さく笑っていた。

…お見通しなんだな。

『じゃ、じゃあ高校そっちですよね？制服的に。私こっちなので！』

私は隠したくなり三玖さんの手を離し逃げようとした。

三「あ、そうですね。では、さようなら。」

あ、よかった…やっといつものペースに…

その時、腕をぐいっとひかれた。




三「Aさん、顔真っ赤ですよ？」

三玖さんにそう囁くように言われ私は思わず顔を抑えた。

三「では、お仕事頑張ってくださいね。さようなら。」

三玖さんはそう笑ってその場を去っていった。

な、何だったんだ今の……

私は赤くなった顔を隠すようにして仕事場に向かった。



『なにこれ、意味わかんない…』

三「駄作者からだよ。」→←五月「…嬉しいんです」

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