EPISODE2 - 115 ページ9
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「レオナさーん？Aくんは忙しいんスから、離してあげるッスよ〜。」
「…おい、ネズミ。」
『その呼び方、どうにかならないんですか？』
「さっきの話、忘れるんじゃねぇぞ。」
『フル無視じゃん…』
いっつも人の話を聞かないな、この人は…というか、さっきの話ってなんだ？なんか言われたっけ？
『あぁ…！チェカくんのことですか？謁見許可がでたら会いに行きますよ。おじたんのこともちゃんと話してきてあげます！』
「おじたん…？」
「チッ、余計なこと言うんじゃねぇ。」
『あははっ、それじゃあ僕はもう行きます。また昼寝しに来ますね。』
「…勝手にしろ。」
相変わらず素直じゃないけど、その顔は少し嬉しそうな気がした。スルスルと離れていく尻尾を見ながら、ゆっくりと立ち上がった。
「ちょっと！なんで、昼寝する前提なんスか！？レオナさんはちゃんと授業受けてください！！」
「気が向いたらな。」
『ラギー先輩、頑張ってください。』
僕は頭を抱えるラギー先輩の肩に手を置いた。あんなことがあったのにも関わらず、変わらない2人の関係にちょっと羨ましくなった。
そして、そのまま『失礼しまーす。』と流れるようにその場を離れ、ハーツラビュル組と一緒に薬草を探して歩き出した。
「なんか、めっちゃ仲良くなってね？」
『ん？何が？』
「レオナ先輩のことだよ！あんな引っ付いて昼寝って…」
『あぁ…あれは、捕まったんだよ。よく分かんないんだけどさー。』
「それにしても、あの状況で爆睡できるのもどうかと思うぞ。」
『いや、レオナ先輩の腕めっちゃ寝やすいんだって！ほどよい筋肉と安心感で快眠だよ。デュースも頼んでみたら？』
「え…！？ぼ、僕はまだ死にたくない！」
薬草を1つ取って微笑むとデュースは慌てて拒否をした。別にあの人だって殺しはしないだろうに…怖いのは分かるけどね。
「Aちゃん、それは笑えない冗談だよ…」
「同意だな。しかし、俺もあんなレオナを見るのは初めてだった。」
『あんなってどんなですか？』
「それは…」
質問を聞いたトレイ先輩は苦笑いをして眼鏡を触った。答えにくいことを聞いたつもりはないが、何かバツが悪かったのだろうか。
「…Aは人を変える力を持っているのかもね。ボクを諭してくれた時のように。」
褒め言葉のはずのそのセリフに僕は少しだけ複雑な気持ちになった。
EPISODE.2 ─ Fin ─
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作者名：すずは | 作成日時：2022年6月25日 19時
