EPISODE2 - 113 ページ7
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風の匂いと鳥の声。
自然に囲まれて疲れを癒しているはずなのに、何故かザワザワと人の声が聞こえてきた。それに、何か柔らかい感触も…
「…いい加減にするんだゾ!!」
『イテッ…!!』
腕の衝撃で寝ぼけていた目が完全に覚める。目の前に青い毛皮が仁王立ちして、こちらを睨んでいることを頭で認識した。
『あれ?グリム?なんでここにいるの?』
「いつまでも寝ぼけてんじゃねぇ!オレ様を抱き枕にしやがって!」
『ごめんって。もう起きたから。』
「ツナ缶、くれたら許してやらなくもねぇんだゾ。」
『はいはい。』
僕は体を起こしてグリムを撫でた。欠伸をしながら髪の毛を直す。すると、周りの気配に気づいた。
『…この状況はツッコんだ方がいいんですか?』
「さぁな。」
『……皆さん、お久しぶりです…?』
恐る恐る、首を回すとなんとも言えない表情をした皆が立っていた。無意識にレオナ先輩の服を掴んだ。
「…お前なぁ……。お久しぶりです、じゃねぇんだよ!いきなり何も言わずに消えやがって!」
『しょ、しょうがないだろ!僕だって半ば攫われるみたいに連れていかれたんだよ!それに、ユウくんには連絡してたもん…!』
「だからって…」
「まぁまぁ、無事だったんだから良かったじゃないか。それよりも、もう体は大丈夫なのか?」
『え?あぁ…課題のおかげで寝不足ですよ。もうちょっと寝てたかったですね。』
「いや、それもそうなんだが……」
大きな欠伸をしながら、答えるとトレイ先輩は困ったような顔をした。ちゃんと質問に答えたつもりだったが、期待していたものとは違ったようだ。
「Aは、この10日間何をしていたんだい?」
『ずーっと仕事ですよ。こき使われ過ぎて疲れましたよー。』
「…そうか。あの魔法を使っても何も問題はなかったということかい?」
『あの魔法?』
「ちょっ!リドルくん!?」
あの魔法ってなんの事だ?僕がいなくなる前に使った魔法は初級魔法ばっかりだし…大きい魔法っていったら……
『あぁ!あのオーバーブロットのやつですか?』
「……ボクの時も君は意識を失った。今回も同じようになっているのではないかと心配だったんだ。」
『なるほど。前回のは僕も原因究明中なんですよ。元々、あの魔法は人体への影響はあまりないはずなんですけどねー。』
そう、元はそのはずなんだ。ただの精神操作系の魔法のはずなのに反動が大きすぎる。
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作者名:すずは | 作成日時:2022年6月25日 19時