EPISODE3 - 14 ページ24
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『フフフフ…アハハッ!』
「ねぇ〜、イルカちゃん笑いすぎじゃねぇ?そんな面白かった?」
「楽しそうでなによりです。」
「…そんなに笑うことでもないでしょうに……」
『いやー、すみません。なんというか、拍子抜けしちゃって。』
一頻り笑った後、僕は呼吸を整えて目元の涙を拭った。隣に座っていた片割れ先輩が僕の頬を楽しそうにつついてくる。それを止めることもなく、話を戻した。
『えーっと、なんでしたっけ?僕と取引ですか?』
「……はい、詳細は…」
『いいですよ。契約しましょうか。』
「ありがとうございま…………え?」
『へティー・ウィーラーとして歌えばいいんですよね?いつにしましょうか。』
「ちょっと待ってください。そんなにあっさり…いいんですか?あなたならもっと考えて行動するかと思っていたのですが。」
眼鏡をくいっとあげて動揺を隠す詐欺師先輩。それを見た僕はもう一度面白くなり笑いそうになった。
『そりゃあ、ある程度は考えてますけどさっきみたいな意地悪さは感じないですし、もし騙されてたとしてもやり返すだけですから。』
「…どんな仕返しをされるのか気になるところですが、あなたを相手に騙すなんて無謀なことはしませんよ。それでは、詳しい契約内容を決めましょうか。」
『はい、そちらは確か…ユウくんの身の安全を保証してくれるんでしたっけ?』
「その通りです。彼の身体への手出しは一切しない、ということを約束しましょう。その代わり、モストロ・ラウンジで演奏会をしてほしいのです。」
『分かりました。ですが、演奏するのは僕ではなくへティー・ウィーラーとしてです。演奏時間は…まぁ、1時間ぐらいでどうでしょうか。』
「……いいでしょう。演奏には当店のピアノをお使いください。」
『え!いいんですか?あのピアノ、さっきチラッと見ましたけどかなりいい物ですよね!やった〜!』
ここまで話を進めてきたけど正直、演奏をするのは乗り気ではなかった。だって自分の通ってる学校で目立つようなことをするなんて誰だってやりたくない。
しかし、いいピアノを無料で弾けるとなったら話は別だ。もしかしたら、新しいファンを獲得出来るかもしれないし、これはかなりいい取引かもな。
「それでは、この契約書にサインを。」
『はい。』
ある程度、契約内容が決まって来たところで詐欺師先輩は黄金の契約書を取り出した。
僕は改めて内容を確認した上でサインを書いた。
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作者名:すずは | 作成日時:2022年6月25日 19時