ヒロイン？いいえ、傍観者です。【ツイステ】Part6 (ページ16)

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EPISODE3 - 6 ページ16

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オクタヴィネル寮とインチキタコ野郎…この2つの単語を聞いて、僕は何となくこの事態の原因が分かった気がした。

「テスト順位を口々に叫んでる……」

「俺たちも行ってみるぞ。」

『僕は……』

「Aも行くよ！」

『あ、はい。』

厄介な事に首を突っ込みたくないので回れ右をして元来た道を戻ろうとすると、それを先読みしていたかのようにユウくんに腕を掴まれた。

心底関わりたくないが、ユウくんの圧に負けて僕は鏡に突っ込んだ。

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━━━ オクタヴィネル寮 ━━━

「うわぁ！水の中に寮がある！」

「マジかよ！すげぇな、ナイトレイブンカレッジって！」

『2人ともテンション高いね〜』

海の魔女の慈悲の精神に基づく、オクタヴィネル寮。

それに沿って作られたオクタヴィネル寮は、仄かな磯の香りが漂う海の中が再現されている。

普段とは違う風景にワクワクするのは理解できるが、2人の反応が可愛すぎて少し笑ってしまった。すると、それに気づいた狼くんが「ゴホン」と咳払いをして眉をつり上げた。

「……仮にも別の寮の縄張りに入るんだ。お前も浮かれてねぇで、用心しろよ。」

「分かった！」

『ふふっ…』

「なんだよ。」

『別に？可愛いなぁって思っただけ！さ、早く行こ！』

僕は狼くんに怒られる前に早足で前に進んだ。後ろで何か言っているが、気にしない。そのまま人の群れに姿を隠すように入り込んだ。

「イテテテッ！くそっ、こんなの詐欺じゃねぇか！」

「これからどうなっちまうんだよ〜…」

人混みの中に入るとより一層周りの文句がよく聞こえた。怒る者や泣きそうになる者、絶望して生気が抜けきっている者もいた。

『噂は本当だったんだな…』

オクタヴィネル寮で“ある取引”が行われているという噂。

テスト対策ノートを渡す代わりに自分の得意な魔法を1つ奪われる。

あまり詳しい話は知らないけど、成績が振るわない生徒に誘っているとかなんとか…しかし、今回のテストができても魔法を奪われるんじゃ本末転倒。

ただの噂話だと思っていたのに身近に引っかかってる人がいたとは……情けない話だ。

一体、どんな取引だったんだろうか。でも、皆の文句を聞く限り相手に希望を持たせて騙す系の詐欺商法っぽいな。

ここにいるのはよっぽどの馬鹿ばっかりってことだな…