イケメンすぎる＿＿. ページ2
昨日のアレはきっと甘美な夢だ。自分が作り上げた都合のいい幻想。そう思っていればいい、絵に書いたような綺麗な人が自分なんかを憶えてるはずが無い。そんな風に何度も自分に言い聞かせた。それでも、実際はそんな事ができる訳もなくひたすらにあの笑顔や色気の余韻に浸っていた。
「…綺麗だった……小笠原くん……名前も綺麗だし…海みたい…」
枕に顔を埋め布団を抱きしめ足をバタバタと揺らす。時間関係なしに思い出せば暴れることしか出来ない。目を瞑れば浮かび上がる伏せられた長い睫毛、風になびく美しい髪、爽やかな笑顔に耳心地の良い声…私は耳まで赤くしてまた布団の上で暴れた。
「うわぁぁぁぁぁ！！！！」
「姉ちゃんうるさい！！」
弟からの怒声に少し冷静になれた。落ち着け私。大丈夫だ、あの笑顔はきっともう向けられることもないし話すこともない。
── と思っていたかった。
「あれ、またあったね岡宮さん」
暴れに暴れ、呆れた母による買い出し命令を渋々受け入れ、足りなかった夕飯の具材を近くのスーパーに買いに行けば爽やか笑顔に遭遇。眩しい、眩しすぎる。
「さっきぶりですね小笠原くん。」
「さっきぶり〜…って、同級生なんだしタメ口でいいし呼び捨てでいいよ？」
「無理です」
呼べるか、誰が美人で綺麗で格好良い小笠原くんのこと呼び捨てタメ口…？無理無理無理！確実にシバき倒される。誰かはわかんないけど。
「あちゃー、随分と即答だね、」
ありゃりゃとへにゃ、と笑う彼の姿を見て危うく卒倒しかけた。何しても綺麗な人だな。ってかスーパー似合う。
「ところで小笠原くんは……」
「あー、買い出し。ずっとゲームしてたら家から叩き出された。」
へら、と恥ずかしそうに笑う彼を見てまたもや卒倒しかけた。本当に美しい人だ。
「岡宮さんも…？」
「あ…私も買い出しです。」
同じだ、とにこにこしながらレジに向かった。レジを終わらせば途中まで送るよ。と、とんでもなくイケメンで爽やかな笑顔が飛んでくる。私が全力で遠慮してもいいからいいから、と送ってくれる小笠原くん。どこまでイケメンなんだよ。
静かな道、車が走る音と私の心臓の音しか聞こえない。健康に良すぎるイケメン…
「あ、危ないからこっちね。」
サラッと肩を抱き車沿いを歩いてくれる。もしかしたら私今乙女ゲームの住人かもしれない。さっきから胸のときめきが止まらない…
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作者名：踊る社蓄8号車 | 作成日時：2023年10月18日 4時
