鬼さんこちら、手のなる方へ。

47 ページ47

・









やっぱり。
我慢してたんだね。



そりゃ、不安だったよね。








初めて宏光が
思ってくれたことを打ち明けてくれて凄い嬉しかった。

今まで彼なりのタイミングで言わせてあげよう、って
私からは触れずにいたけど

こうして改めて、今宏光の口から正直な言葉
言ってくれるって思ってなかったから
なぜか私までもが泣きそうになっちゃった。







煙草吸ってくる、ってベランダに向かい
ドアを閉めた宏光。


きっと泣き顔見られたくなかったのかな。





下を向きながら手で涙を拭う後ろ姿を見て
隙間だらけだった心の中が
少しだけ埋められた気がする、そんな夜だった。









・









・









あれからまた一時間くらい居て
仕事もあるから、って帰っていった宏光。


色々ありがとうって
２人でぺこぺこお辞儀しあったのなんて初めてで
どこかこそばゆかった(笑)






「おーーっはよ！」



仕事行く際に
ゴミを出そうと網を掲げた時、



驚かそうとしたのか後ろから
ぴょこっと顔を覗かせてきた



「……っ裕太くん！？」





にー、ってまぶしい笑顔とともに
嬉しそうなくしゃくしゃなお皺。





「あれ、2日間って…」


「早く撮影終わったの！」


「あ、そうだったんだ！」


「そー(笑)」









・

48→←46

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す