鬼さんこちら、手のなる方へ。

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涙。
必死に我慢して、奥歯をかみしめる。



お茶出すね、ってキッチンに移動したときに
宏光の見えないとこで
深く深呼吸して潤んだ瞳を必死に拭いた。





「どう？
仕事の方は。」



毎回そうやって聞いてくれるとこも
宏光のさりげない優しさ。






「ん〜…。
話ってそのことも兼ねてるんだけどさ…。」


「お、どした？」







やっぱり警察官に相談したほうが
一番手っ取り早いかなって、
こう見えても口が軽くない宏光に話して見ることに。






新しく入ってきた後輩君がね、
って私があれ？って怪しく思ったことは
一から全部、細かく説明した。








「薬っぽい粉ねー。」


「本当にそうなのかな・・・」


「なんか変な行動とかなかった？

例えば冬なのに異常に汗かいてるとか
変なこと言いだしたり
情緒不安定だったり。」


「あー・・・
それはないかも。」


「じゃあ多分だけど
薬は違うかな。」


「そうなの？」


「だと思うよ。

んで、あとカッターってマジ？」


「持ち手が白だったんだよ。
おかしくない？
それも事件のあと。」


「そっか…。
分かった、ちょっと手掛かりになるかもしれない。」


「え、待って。
本当にその後輩君が犯人なの？」





分かりもしない答えを
宏光に問いただすけど
首を横に振る。




「分からない。

本当に犯人、今カギとなるヒントさえない状況なんだ。
お面は被ってるし
服も真っ黒だから年齢もわからないし。」


「そっか・・・。」


「一応お前、注意はしとけよ。」


「分かった。」







もし。
本当に藤ヶ谷君が犯人だったらどうしよう。



そんなの絶対ないって信じたい。






「名前教えてくれない？」


「藤ヶ谷太輔。」


「分かった。
また何かあったら連絡するよ。」


「ありがとう。」









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