標的22 ごめんなさいとありがとう ページ28
場面がパッと切り替わった。
真っ黒な場所にお兄ちゃんがいて、なにも言わずにどこかへ行ってしまう。
貴「まって！」
走って追いかけるけど、何故か追いつけない。
どうして？お兄ちゃんは歩いてるのに。
すると、お兄ちゃんがこちらを向いて一言。
兄「ごめんね。」
それだけ言って消えてしまった。
どうしてお兄ちゃんが謝るの？
どこに行っちゃったの？
また、会えるよね？
約束したもん。
絶対って。
―A！
誰かが僕の今の名前を呼んでいる。
誰だろう。
―A！起きろ！
起きろ？
そうだ、ここは夢の世界。
誰かが起こそうとしてくれてる？
ディーノさん？
起きなくちゃ。
そう思うと、この真っ黒でなにもない世界がぐにゃりと歪んだ。
そして、目を開ければ、僕の部屋。
最初に目に入ったのは心配そうな顔をしたディーノさん。
ディ「良かった。起きた。
魘されてたから、大丈夫か？」
貴「大丈夫。ごめんなさい。」
また迷惑をかけてしまった。
ディーノさんにこんな顔させたくないのに。
ディ「なんでAが謝るんだ。」
貴「だって、また迷惑かけた。
ここにきて、迷惑ばっかりかけて。
ごめんなさい。」
気がつけば泣いていた。
そんな僕をみて、慌てるディーノさん。
そして、そっと抱き締められた。
ディ「迷惑じゃない。
だから、Aが謝る必要なんか無いんだ。
俺は、迷惑かけられたなんて思ってない。
心配してるんだ。
それくらい、いいだろ。」
迷惑じゃなくて、心配。
それは、僕が望んでいた言葉かもしれない。
お母さんやお父さんには迷惑としか言われなかった。
心配してる、なんて言ってくれたこと、無かった。
嬉しい。
貴「ありがとう。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アリス(プロフ) - イラスト描いて良いですか? (2018年1月22日 11時) (
レス) id: e6bf6e1bae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：澄珠 | 作成日時：2016年9月26日 20時
