晴と曇 ページ1
____ピロン____
聞き覚えのある音で目が覚めた。
なんの音だっけ。
思い出せない。ゆっくりと目を開けると、天井が見えた。
でも、さっきの音と違い、この天井には見覚えのないものだった。
その途端、私はばっと勢いよく上半身を起こした。
そうだ。ここに見覚えがないことがおかしいのだ。
誘拐、その二文字が脳裏をよぎる。
ようやく働いてきた頭で思い出した。
あの音は私のメール着信音だった。
急いでポケットにあるスマホを取り出してメールを見てみた。
でも、なぜ誘拐ならスマホを奪ってないんだろうか。
《どうも、天気チームの皆さん。
突然ですが貴方達には‘戦争’をしていただきます。》
たったこれだけ。
宛先は知らない所。
なんで?何故昨日まで普通の女子高生だった私が?戦争?
あり得ない文面に混乱する。
「せ、戦争!?っていうか!天気チームってなんなの、」
少し呟くように声が漏れてしまった。
するとこれまた驚き。
誰もいないと思っていたこの部屋から、誰かの返事が返ってきた。
「あ、最初に起きたのは君か」
「!?」
声のした方を見ると薄暗い中で少年が一人、こちらに目もくれずに本を読んでいた。
眼鏡を掛けているようだけれど、更に目が悪くならないのだろうか。こんなところで読んでいて。
「ね、ねえ君、ここ、どこだか知ってる??」
「さぁ」
勇気を振り絞ったその一言も、すぐに終わってしまった。
「あ、君、名前は?私は楓!」
「僕は新。まあ、このゲームでは、《曇》らしいね。」
相手の名前を聞けたのは喜ぶべき点だったのだが。
しかし、また新しい問題が出てきた。
むしろこっちの方が大事かもしれない。
_____とは流石に言い過ぎるだろうか。
何はともあれ、その、問題点は2つ。
1つは少年が言った、《ゲーム》について。
もう1つは、《曇》という自称の仕方について。
だが、それについては考える暇もなく、相手_____新から声がかけられた。
「ねえ、メール来た?」
「メール、、あ、きたきた。これでしょ?」
訪ねながらスマホの画面を操作して新の顔に突きつける
「ちょ、見えない見えない近い近い近い」
「え、あ。」
近すぎたか.....テヘペロ☆
「いや、テヘペロは良いからちょっと見せて」
「ん!?声出てた!?」
「そりゃあもうガッツリ。」
「うそ!?」
軽く笑いながら新の顔からスマホを遠ざけて、手渡しをする。
「最初からこうやって渡せよ.....」
とかぶつぶつ言っているが気にしない!
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作者名:東橘 立夏 | 作成日時:2018年3月29日 11時