恋煩い【イソップ・カール】 (ページ5)

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手違いの恋ならばページ5

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＜『お付き合いしてくださいｯ！』＞

＜「……いいですよ。仕事上、関係は近しい方がいいですし。少なからず僕は貴女のことを好いていますから」＞

＜『携帯…ですか？』＞

＜「はい。何かあった時は電話してください。貴女に何かあってからでは遅いので」＞

＜『イソップさんｯ……！』＞

＜「ｯ……大丈夫です。恋人を守るのは恋人の仕事なので」＞

夢を見た

いつの事だったのかも思い出せないような記憶

ー

「……以上です。お帰りいただいて構いませんよ」

『ぁ……っ…はぃ…』

彼は私を呼ぶと、

"しばらく仕事が忙しくなる事

その間の電話、手紙は無い。

その代わり、観測者に検診をここでして貰うこと。"

それだけを伝えると資料が積み重なる机へと視線を戻してしまった

じわりと瞳を潤す涙を堪えた

私達の思い出と今を繋ぐ回線が

いつからか解れかけていたんだろう

ーー

一人きり

彼から与えられた家

必要以上にここから出ることはできない

まるで籠の中の醜い鳥

私は籠の中の美しい鳥にも

大空を羽ばたく美しい鳥にもなれやしない

なにが、

間違っていたのだろう

どこから私は間違えてしまったのだろう

もう何度考えただろうか

過去を振り返っても君は私に振り向いてくれやしない

彼がくれた灰色のくまのぬいぐるみ

まるで彼を型どるようなそのぬいぐるみが忌々しくて

ハサミを突き立てる

『は……っ………ぁは……ぅ……ぅぅっ……』

視界が歪んでなにも見えない

いつまでもささくれ立つ心が止まない