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放課後、さとみは一人でAの家に来ていた。
Aは幸い保健室に運び込まれて30分ほどで目を覚まして自力で家に帰ったらしいがさとみはずっと気が気でなかったため、Aの家に来たのだ。
養護教諭が言うには寝不足だと。
「お前本当大丈夫?バカじゃない?」
『うるっせぇなぁ…母親かよ…』
呼び鈴が鳴って出たのは良いものの最初に聞くのがさとみの暴言ということにAは萎えた。
『暴言だけ吐きにきたんだったら僕もう寝て良い?』
「寝るのは良いけど。はいこれ」
『…さんきゅ』
さとみに渡されたコンビニの袋の中にはハーゲンダッツが3個入っていた。
それも全部Aが好きなチョコ。
「お前が好きなの持ってきてやったのになんだよその反応」
不満げに首を傾げたさとみにAは顔を見られないように下を向く意識した。
『お前がこんな気を使える人間に成長したんだって嬉しくなったわ』
「誰だよ」
Aは目を細め、顔が熱くないのをさりげなく手で触って確かめ顔を上げた。
「明日は学校来れそ?」
『行くけど』
Aの答えを聞いてさとみはニヤッと笑った。
「お前のガチ恋勢の男子が嘆いてたから相手してやれよ」
Aの顔もさとみと同じニヤニヤ笑いに変わった。
『僕の性格知ってて僕のこと好きとか誰か分かんないけどそいつ狂ってんだろ』
「俺はお前みたいにそいつの名前出さないけどマジで狂ってると思うわ」
さとみは少し遠い目をして言った。
Aは自分の顔が赤くならないようにと意識をするのに忙しく気付かなかった。
『マジはっ倒すよゴミクズ』
「はいはい、早く寝て体調直せよドアホ」
さとみはAの肩を軽く掴んで自分に向いていたAを家の中に向き直させた。
「また明日な」
『ガキ扱いすんな』
さとみはAの優しく背中を押して家から出ていった。
『…本当バカすぎんでしょ』
Aはその場でしゃがみ込んで頭を抱えた。顔は燃えるように熱く、赤くなっていた。
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