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『おは…いやダメだな』
Aは投稿してきて机にバッグを置き、後ろの席のさとみに挨拶をしようと振り返ったが途中でやめて前に向き直った。
そしてさとみから遠ざかるように廊下に向かおうとしたが座ったさとみに制服の後ろの襟を掴まれて止まった。
「何がだよ」
『何がだよじゃねえよお前バカか?女子と良い感じに喋ってるやつに普通に話しかけられるわけないだろ空気読めよボケ』
さとみがクラスの女子と良い雰囲気で喋っていたから挨拶するのをやめたのにそれを逆に止めに来るとはどういうことだとAはさとみを睨んだ。
女子はAがさとみと喋っているのを視界に入れた瞬間にさとみに軽く手を振って離れていたが。
「今いないやん。目腐ってんのか?」
『うるせえな黙れよ不快』
「俺なんもしてないのになんでそんな暴言吐いてくるのか聞いて良い?」
女子と喋っていただけでAは何をこんなに怒っているのか本気で分かっていないさとみはぽかんとまだ廊下の方を向いているAを見上げた。
Aからすると他の女子と喋っていたから嫌なのだがさとみに通じるわけもなく歯痒い気持ちになっていた。
『朝だからだるいだけ』
「俺に当たるなよな…」
後頭部に手を伸ばしてかくさとみを見てAは気まずくなった。
一方的な片思いのくせに女子と喋っていただけでなんでこんな嫉妬しているんだろうと。
そして気付いた。あの女の子がさとみを好きだと言う噂を聞いたことがあったからだと。
『そういえばあの子お前のこと好きだった気がする』
「お前好きな人本人にバラすとかマジクズだよな」
軽く軽蔑したような目を向けてきたさとみをAは鼻で笑った。
『今更だろ』
「まあそうだな」
Aは前世も含めていることに気付いていないさとみに寂しさを感じたが誤魔化した。
『お前の声より蚊の羽音の方が好きかもしんない』
「一周回って告白やんありがと」
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