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『マジで奢ってくれてありがとー。けどさ、家まで送ってとは頼んで無いと思うんだよね』
若干鬱陶しそうにさとみを見るAにさとみは首を傾げた。
「友達が言ってたけどお前俺と同レベルに顔良いらしい。だからナンパとかされないように」
『らしいって他人事なの腹たつしまだ顔面の話してんのかよ。お前僕と生きてる時代違うんだけど』
「やかましいわ、良いからとっとと歩け。そろそろ暗くなるだろ」
さとみはAの後ろから隣に来た。
Aはいつもよりも早い心臓の鼓動を誤魔化すかのように喋り始めた。
『うぇいイケメーン。盗撮して「彼氏とデートなうに使って良いよ」って学校の女子に配布して良い?」
「お前ガチヤバい」
さとみが笑ったのでAは面白くなる。
『流石にやめとく?じゃあお前と僕がクレープ食べに行ったってみんなに言ってやろうかな』
「うわお前本当ゲスい」
さとみはAの提案にドン引いた。
そんなことをされたらAにもさとみにも害しかないからだ。
さとみは無意識にAのことを案じていた。
『僕かわいいらしいし多分大丈夫っしょ』
「お前も自覚してんじゃねえか」
『まああんだけ告られて生きてきたらねー』
Aは前世と現世の両方を思い出していた。さとみだけでなく、Aも前世と顔も声も変わっていないのだ。
性格もあまり変わっていなかったが、2年前の高校の入学式でさとみがいると気づいてからは意識的に前世に寄せるようにしていた。
まあ前世から顔が良いのでモテモテだったのだ。
「自分で顔面良いのガッツリ自覚してんじゃねーか」
『お前よりマシだろ。僕最近はあんま告られないし』
「そりゃお前の性格良く知ってりゃ誰も告んねえよ」
呆れと感心が半々と言ったような顔でさとみはAを改めて見た。
『え、そんな僕って性格良かったっけ?』
真顔で当たり前のように言ったAにさとみはため息をついた。
「ここ、お前の家だろ?じゃあな」
『じゃあねー。また明日』
また明日と聞いてさとみが少し嬉しそうな顔をしたがAは逆光で見えなかった。
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