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「ぜってえ誘うやつ間違えてる…」
放課後。Aに連れてこられ、クレープを食べにきたは良いものの周囲が女性ばかりでさとみは非常に居心地が悪かった。
だがAはそんなの知ったことじゃないとさとみの反応を無視していた。
『ぐちぐちうるっせえ。早く食べえねえとアイス溶けんぞ…ってお前もう食べ終わってたな』
「お前食うのマジ遅いな。…お前が食べ終わったらすぐ店出るからな?」
『奢ってくれんの?さんきゅ』
Aは冗談とも本気ともつかないような声と顔でさとみに礼を言ったがさとみはAを無言で見つめ返した。
「俺に払わしたらお前学校中の女子、敵に回すことになるけど」
『自分モテてますアピールキモすぎ。お前自信満ち溢れすぎててびびるわ』
「こんだけ生きてたら顔が良いから告られてんだろうなって自覚くらい出来るだろ」
さも当然かのように言い放ったさとみにAはわざとらしく顔を引き攣らせた。
『うわ自分で顔良いって言った。こんなのがモテるとか世紀末でしょ』
Aの顔は言い終える頃にはいつものニヤニヤ笑いに変わっていた。
毎度のことだがAはさとみをおちょくるのが楽しくて仕方ないのだ。
「黙れよ。お前も顔良い自覚あるだろ」
『えぇー、僕って顔良かったのぉ?気づかなかったぁー』
さとみはわざわざ声を出せる限りのカワボにしてぶりっ子にするAにこちらも毎度のことだがため息をついた。
「どうでも良いからこんな話してる暇あったら食えよ。奢ってやるから」
『きゃーイケメン。モテるのも納得…ほんっと変わんない』
Aの最後に付け加えた言葉は誰にも聞こえないほどの小さな声だったが、顔は一瞬だがl少し暗くなっていた。
その顔を見てさとみはなぜか胸に何かが詰まるような感じがしたが、見て見ぬふりした。
「お前俺のこと金蔓だと思ってるだろ」
Aは一瞬少し暗くなった顔を笑顔で隠すように明るく見えるように口角を上げた。
さとみはAにどんな罪に巻き込まれたのかを覚えていないのだから、Aの暗い顔に気づかないように。
暗くなった顔を見て思い出してしまわないように。
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