いのちの咆哮が聞こえますか5-3 ページ29
*****
「ま、待って!」
「動かれるとお前を守れん。その場から離れるな。」
「…あぁ、私…は……っ。」
武器を出したタイミングで、ヒルチャールや遺跡守衛達が襲ってくる。この遺跡守衛達はきっと、お父様の人体実験の研究結果…。でも、そんなことよりも──弟のことが心配だ。
(あの時、私が女の子の手を…妹の手を拒んでなければ弟も妹も助けられたのかもしれない。)
目の前で戦っている3人も助けられず、妹も弟も守れない私に何の価値があるっていうの…。
『その場から離れるな』
(無理だよ…目の前に居た妹のことも拒否して、実験台になっている弟のことも守れなかった…。)
「7号。」
「…おい、アナスタシア!そいつから離れろ!」
「弟は妹に何をされているのでしょうか…。」
「何をとは…?遊ばせているだけだ…あの子には私の血がよく流れている。自分を真似て兄を可愛がってあげているんだ。」
「…お願いです、弟を…助けてください。妹にそんな酷いこと覚えさせないでください…。」
「…アナスタシアさん!そんな人の言うことを聞かないでください…!……っく!」
刻晴様や甘雨様、魈が私に対して何か言っているのが聞こえる。でも、今はそんなことはどうでもいい。
(弟が私と同じようになって欲しくない…妹に侯爵のようなネジの外れた考え方になってほしくない。)
私が経験してきたこと、見てきたことを…悲劇を繰り返してはダメなのだから。
「お前が邸宅に戻ったら…あの双子を解放してあげてもよい。」
「…っ!」
「どうした、出来ないのか?お前一人と妹弟二人と入れ違いで戻らせるんだ。愛らしい兄妹のため、出来るだろう?」
「…わた、しと…交代?」
あのような地獄を繰り返してはダメだ。それは分かっている。弟と妹には私と侯爵のようになってほしくない。
(結局は自分を優先してしまうの…?人の心は、妹や弟より自分が大事だと思ってしまうの?──そんなの思ってはダメ。)
「本当に…そうしてくれますか。」
「ああ…私はお前の
「…妹と弟を助けてください。」
(私以外傷つかず、救う方法は…もうこれしかないの。)
いのちの咆哮が聞こえますか5-4→←いのちの咆哮が聞こえますか5-2
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天野アリサ(プロフ) - るさん» コメントありがとうございます…!前作から見てくださったのですね…!本当に感謝です…!今作も読んで楽しんで頂けたら幸いです! (2022年11月17日 17時) (レス) @page12 id: 08985c907f (このIDを非表示/違反報告)
る - 前作から見ていました!今作も面白いものをありがとうございます! (2022年11月16日 19時) (レス) @page7 id: 1c00c5b49c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いるか | 作者ホームページ:
作成日時:2022年11月14日 12時