もう、会えない？ ページ23
.
「ねねね！！うらた先生が今、校長室に呼び出されたって！！」
「………っえ、？」
クラスメイトが大きな声でそう叫んだ。
うらた先生が、校長室へ、呼び出し、？
それを聞いた直後、突然教室のドアががらっと大きな音を立てて開いた。びくっと体が震える。
こんなにも大きな音を立ててドアを開ける人なんて、私たちにはもうたった1人の人物しか思い浮かばなかった。
「……お前ら、一旦席つけ。」
誰よりも元気な先生にも今日は笑顔がない。
…それだけ、先生はまずい状況なのかもしれない。
手が震える。
どうしよう、どうしようどうしようどうしよう！
学校、辞めさせられちゃうのかな？
出禁にされちゃうのかな？
もう、会えなくなっちゃう？
先生とお話出来なくなる？
先生……先生……うらた先生…！
「うらさっ……うらた先生は、」
聞いたこともないぐらい暗い声で、坂田先生はぽつりと呟いた。
うつむいているから表情は見えないけど、きっと声だけで想像がつく。
もしかしたら泣いてるのかもしれない。
怖い、怖いよ。
自然と拳に力が入る。
あぁどうか、悪い報告ではありませんように。
散々溜めた坂田先生は、やがて意を決したように顔を上げた。
「捨て猫を救ったで賞を取りました！！」
「………はっ？」
この瞬間、きっと、クラスメイト全員の思いが一致したであろう。
どうやら昨日の帰り道に段ボールの中で弱っている捨て猫を見つけ、保護したらしい。
それを偶然見かけた警察は、うらた先生に捨て猫を救った名誉を称え賞状を送ってきた…とのこと。
つまり、悪い呼び出しではなかった、？
「まぁ、やから学校辞めされられるとかそういうことではないから、みんな安心せえ！」
じゃ！といつも通りニカっと笑って颯爽と教室を出ていった坂田先生。
状況が整理出来ていないけど、少なくとも先生と会えなくなる日がとうとう来たということではなくて……？
ほっと息をつく。
無意識に強ばっていた体が徐々にリラックスしていった。雪が溶けていくみたいだった。
私の脳内に占めされている言葉はたった一つ。
"よかった" だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すすかわ。 | 作成日時：2023年8月11日 12時
